もう1つは、営業時間である。施設内にある多くの店は朝10時に開店して、午後9時に閉店するのに、無人販売は午前5時30分から深夜0時までである。実は、これにはカラクリがある。この商業施設は閉店後も生活道路として利用することができるので、施設内を歩いて会社に行くこともできるし、家に帰ることもできる。というわけで、営業時間外でもパンを販売できるのだ。
いま、さらっと「営業時間外でもパンを販売できる」と書いたが、このビジネスの最大のキモはココである。エキピックマートを担当している山田慎太郎さんに聞いたところ「駅ビルの営業時間外でも、ショップの人が手間をかけずに商品を販売するにはどうしたらいいのか。お客さまがその商品を受け取るにはどうすればいいのか。この2つの課題を解決することを考えた結果、いまの販売形態にたどり着きました」という。
ショップが売り上げを伸ばすために、機会ロスを減らさなければいけない。そのためには、店頭に商品を並べておかなければいけないが、閉店時間までしか販売できない。それまでに売り切る必要があるわけだが、どうしても売れ残ることがある。しかし、店の外を見ると、たくさんの人が歩いている。仕事が終わって、家に帰ろうとしている人たちに、どうやったら商品を届けることができるのか。
駅の利用データを見ても、商業施設が閉まっている時間帯に歩いている人がたくさんいる。また、同社が実施した調査をみると、営業時間外に「お弁当・総菜を買いたい」という人は65%もいた。こうした状況を踏まえ、山田さんは「潜在ニーズがあるのではないか」と仮説を立て、無人店舗という形で勝負に出たのだ。
で、結果はどうだったのか。
えっ、盗まれないの? 無人の古本屋は、なぜ営業を続けられるのか
キユーピーの「ゆでたまご」が、なぜ“倍々ゲーム”のように売れているのか
“売れない魚”の寿司が、なぜ20年も売れ続けているのか
トイレの個室に「使用時間」を表示 で、どうなったのか?
マンションに自転車店が駆けつけて、1日26万円も売れている理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング