リテール大革命

無人販売のキモは? シャポー船橋でパンを販売して、分かってきたこと「実証実験」の結果(5/5 ページ)

» 2021年12月08日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]
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「できるだけ買いやすくする」こと

 感染がやや落ち着いたタイミングを狙って、どんな取り組みをしたのだろうか。アプリを使って事前に注文した商品を特設カウンターで受け取れるようにしたり、ロッカーで受け取ることができるようにしたり。このほかにもアプリを使えばケースのカギが開き、その中から商品を取り出すと決済ができるようにしたり。

阿佐ヶ谷駅に設置した受け取りロッカー

 さまざまなことを試したところ、たくさんの課題が浮き彫りに。ロッカーでの受け取りもニーズがあることがうかがえたが、物理的にロッカーの数だけしか売ることができない。回転率を上げることが求められたが、その解決策を見出すことができなかった。

 繰り返しになるが、このビジネスのキモは「営業時間外でも販売できる」こと。これだけではなく、もう1つある。「できるだけ買いやすくする」ことだ。例えば、同社は何度もアプリを使って購入してもらうことを試みたが、実はそれほどうまくいっていない。アプリを使えばユーザー情報を取得でき、セキュリティ面での安心感もある。ただ、駅ナカという不特定多数の人が利用するシーンでは相性がよくないのか、「アプリを導入すると、利用者が大幅に減少しました」(山田さん)と振り返る。

シャポー本八幡でも無人販売を展開した

 アプリを捨てて、無人でパンを販売したところ、一定の結果を出すことができた。で、次はどんなことを考えているのだろうか。現在のケースには扉がない。衛生面や安全性などを考えれば、そこで販売できる商品は限定される。ということで、次は扉付きのモノを設置する予定にしていて、そこで寿司や洋菓子などを販売する。

 交通系電子マネーやクレジットカードなどをリーダーにかざして、そのカードが有効であれば扉が開く。あとはケースから商品を取り出すだけで、決済が終了している形だ。「できるだけ買いやすくする」仕組みを考えて、この形にしたわけだが、消費者にどこまで支持されるのだろうか。

 お店の人は手間がかからず、売り上げが伸びる。お客は帰りが遅くなっても食事を購入できる。廃棄ロスも削減することができる。無人販売の循環が広がれば、“三方よし”の世界が生まれるのかもしれない。

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