フィジー・シモ氏によると、Caper AIの技術は、同社が製造販売するAI搭載型のショッピングカートを購入するだけの“プラグアンドプレイ式”での導入が可能なため、簡易かつ安価に導入できる点がポイントだということです。前回の記事で紹介したJust Walk Out技術のように店舗全体にオーバーヘッドカメラを設置したり、情報を処理するための大規模なコンピューティングシステムを導入したりする必要はありません。
ご紹介してきた通り、現在、無人レジ技術にはさまざまな形態があり、業界全体としてどの技術がメインになるかといった方向性がそもそも定まっていません。Just Walk Outのようにトータルライセンスとして店舗内にさまざまなカメラやセンサー、モニタリングシステムを設置する事業もあれば、Caper AIのようなレジ機能付きショッピングカートを提供する事業もありますし、もちろんレジの操作を顧客自身が行う通常の無人レジも普及していますが、いずれの事業もまだ独占的地位を確立できていません。また、企業側ではやはりコストが導入のネックになっているのが現状です。
例えば、導入するリテール企業側に技術的リソースがない場合、企業は通常の導入コストの他に、技術導入のサポートを受けるコストも負担する必要があり、ハードルが高いのです。しかし、AI搭載のショッピングカートを購入して店舗に設置するだけであれば、この導入の壁は越えられるかもしれません。
CaperのWebサイトによると、Caper AIショッピングカートの特徴は以下の通りです。
商品をカートに入れる際に物体検知AIが自動的に商品を認識します。そのため顧客はバーコードスキャンなどをする必要がありません。
商品はディープラーニングを使って特定します。カートにははかりが搭載されているため、計り売りの商品を購入した時は自動的に値段を計算してくれます。
パスタをカートに入れたと認識すると、カート上の画面で、「おすすめレシピ」を表示。レシピに必要な食材が売っている場所まで案内してくれます。初めて訪れるスーパーは店内で迷うものですが、これで安心です。
カートに搭載されているセンサーのおかげで、顧客一人一人の店内での動線を可視化、データ化して解析できます。また、どの棚のエリアが人気か、あるいは混み合うのかといった棚ごとの分析も行えるため、その結果を店舗内のレイアウトの最適化などに生かせるでしょう。
そして何よりも、店舗で既に使用しているPOSシステムや決済プロセッサを変更する必要がなく、カートを導入するだけでよいため、理論上は簡単に導入できることが分かります。
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