リテール大革命

空港・カジノ・イベント会場──米アマゾン技術で“無人店舗”が急増中 一方、進出しづらい業界も石角友愛とめぐる、米国リテール最前線(1/4 ページ)

» 2021年11月02日 07時00分 公開
[石角友愛ITmedia]

 最近、日本でも無人店舗が増えてきました。米国では、アマゾンの「Just Walk Out」プロジェクトが無人店舗をさまざまな業界に広めています。「Just Walk Out」は無人店舗「Amazon Go」の技術をライセンス化した事業です。

「Just Walk Out Shopping」(=ただ歩くだけの買い物)とコンセプトを掲げるAmazon Go(提供:ゲッティイメージズ)

 技術を活用した店舗では、顧客は入口でアマゾンアプリをスキャンして店内に入ります。そして好きな商品を手に取り、自分のエコバッグやカバンに入れたり、手に持ったりしてお店を出ます。すると、自分が手にした商品がアプリを通して見事に決済でき、レジを通ることなく退店できます。

 「Just Walk Out」は、現段階で、数種類のリテールに展開しています。そのうちいくつかの事例を紹介した後、こうした技術が進出しやすい業界とそうでない業界の違いについて考察します。

(1)空港内のコンビニ

 米国の空港の中に設置されているコンビニは、ハドソンニュースという企業がその大部分を占めています。搭乗前で急いでいる時にレジの列に並ぶのはおっくうですが、最近、ハドソンニュースが「Just Walk Out」技術を導入したと報じられました。

米空港コンビニ大手ハドソンニュースが「Just Walk Out」技術を導入(出典:アマゾンによる紹介動画より)

 記事によると、テキサス州の空港で今年の2月に無人店舗がオープンしました。空港内の無人店舗としては初めてで、敷地面積は500スクエアフィート(46平米弱)。非常にコンパクトなサイズの店舗です。

 顧客は、入り口でクレジットカードを挿入すれば、アマゾンアプリの登録がなくてもこの店舗を利用できます。

入り口でクレジットカードを挿入する様子(出典:アマゾンによる紹介動画より)

 後はAmazon Goと同じように、欲しい商品を手に取ってお店から出るだけです。これであれば深夜のフライトや早朝のフライトで、お店がほとんど開いていない時にも買い物ができます。

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