ただし、希望はあります。
新卒の初任給で男女間の格差を見てみると、大卒事務系の女性で20万1600円、男性で20万7300円とほとんど違いはありません。また、大卒技術系の場合、女性は21万1600円で、男性の20万8500円を上回っています(総務省「労働力調査」)。
スタートラインは変わらないのに、どんどんと格差が広がっていく背景には、女性が出産や育児などで仕事を辞め、子育てを終えて復職する段階では、非正規でしか雇ってもらえないという現実がある。これには、女性管理職の少なさなども影響しています。
つまり、見方を変えれば、「上」から変えればいい。意思決定の場に女性を増やし、女性管理職を何が何でも増やし、「ガラスの天井」いや、「鉄壁の天井」を、上からたたき壊す方法を取るしかないのです。
それほどまでに、日本のジェンダー問題は根が深い。
芳野氏には、「女じゃだめだと言われないように」ではなく、女とか男とかで評価されないような辣腕(らつわん)ぶりを発揮してほしい。是非とも、今のポジション=上から、たたき壊してください。
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。
研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)、『他人の足を引っぱる男たち』(日経プレミアシリーズ)、『定年後からの孤独入門』(SB新書)、『コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)がある。
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