連合は、2022年春闘で「ジェンダー平等」に取り組むことを打ち出しました。
女性初の連合トップである芳野友子会長は「制度上は男女(の賃金表は)一緒だが、結果的に差があるのはなぜなのか」と語り、「(資質や実績があっても女性の昇進を妨げる)『ガラスの天井』は賃金にもある」と強調。
女性の賃金が男性に比べ7割程度にとどまる現状を踏まえ、傘下の労働組合とともに男女間格差の実態把握を進め、問題点の改善に努めていく方針を示しました。
本コラムでは度々、ジェンダー差別や、雇用形態による賃金格差の問題を取り上げてきました。芳野氏の指摘する「ガラスの天井」の背景にも、この2つの要因が存在するのは明らかです。
一言で言えば、「女性の自立」を日本はいまだに認めていないのです。そう、「いまだに」です。
芳野氏の方向性は全面的に支持しますが、なぜ、もっと女性賃金アップに連合は積極的にならなかったのか? なぜ、連合は女性がトップにならないと、ジェンダー平等に取り組めなかったのか? と、私の脳内には「?」が飛び交っています。
少々意地悪な見方をすると、「連合の幹部の男性たちも、心の中では女性の自立を認めていないのでは?」なんてことを考えてしまうのです。
芳野会長自身、会見で就任後に多くの女性から激励を受け、「『女じゃだめだ』と言われないようにしないと」と強調したと報じられています。
これだけ女性が働くのが当たり前の時代なのに、連合という労働者の代表の組織で「女じゃだめだと言われないようにしないと」などと、気負わなくてはならないとは……。これこそが「ガラスの天井」であり、「女性の自立」を認めてない証であり──残念としか言いようがありません。
1976年に朝日新聞社に入社し、経済部の記者としてキャリアを積んだ、働く女性のパイオニア的存在である竹信三恵子さんの著書、『ルポ 賃金差別』(ちくま新書)には、こんな一節があります。
「女の時代って、本当にいいですね。女性が外で活躍してくれるようになり、大学院を修了した人や大卒の素晴らしく優秀な女性が、パートや派遣として正社員の半分の賃金で働いてくれるんですから」──。
ある中小企業の社長さんが、笑顔でこう話したというのです。
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