それから40年以上も経過したのに、いまだに多くの女性がパート=非正規として雇われ、「非正規の賃金は安くて当たり前」という意味不明の状態が続いています。
本コラムでは何度も書いている通り、非正規雇用は企業側にインセンティブを与える雇用形態です。なので、正規雇用より高くて当たり前。そもそもその不安定な身分から、EU諸国の多くは、非正規雇用自体を禁止しています。
──なのに、日本は。
ここでも昭和の価値観をひきずっている。総務省「労働力調査」の2020年平均結果によれば、男性の非正規率は22.2%に対し、女性の非正規率は54.4%と圧倒的に女性の方が多い。
2018年、女性の就業率が全年齢ベースで51.3%となり、50年ぶりに5割を超えました。しかし男性の場合、正規雇用が29万人増え、非正規は22万人増だったのに対し、女性では、正規雇用が24万人増え、非正規は62万人増。全体では、働いている人の3人に1人が非正規雇用ですが、女性に限ると2人に1人です。これは異常としか言いようがない。
しかも、正規雇用の場合、男性の平均年収は547万円なのに対し、女性は376万円。非正規では男性229万円に対し、女性はわずか150万円。たったの150万円です(図参照)。
データ出典:厚生労働省「平成26年度賃金構造基本統計調査」、グラフ出典:財務省財務総合政策研究所総務研究部ディスカッション・ペーパー「正社員の男女間賃金格差の解消に向けた検討−フランスとイギリスの事例を踏まえて−」日本がGDPで米国、中国に次ぐ世界3位の経済大国なのにもかかわらず、シングルマザー世帯の貧困率が先進国で突出する理由が、お分かりいただけますよね。
兎にも角にも、日本社会は「女性の自立」を認めていないのです。
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