例えば、総務が仕掛けるオフィス施策において、従業員同士が交わる場をせっかく数多くつくれたとしても、横にいる従業員を知らなければ実際はなかなかコミュニケーションは生まれない。もし知っている人であっても、話のきっかけがなければこれもまた話しにくいものだ。
従って、まずはオフィス施策を考える前に、社内メディアで人物紹介、部門紹介といった企画を用意して、大量の人物情報を発信することが必要である。それにより、従業員同士がそれぞれのメンバーについて知ることになる。そうすれば、リアルの場で交わったときにコミュニケーションが生まれやすくなる。総務が仕掛けるオフィスでの交わりの場の効果を高めるために、社内メディアで補完していくのである。
また、ハイブリッドワークとなり複数拠点にメンバーが点在するとなると、オフィスで交わりの場をつくるだけでなく、それ以外の機会で強制的に交わりの場をつくることも求められる。そこで活用できるのが社内イベントなのだが、やはりオフィスのときと同様に、普段会うことがないメンバー同士をグルーピングしてもあまり効果がない。ここでも、社内メディアと連携することが重要だ。
人物情報を常日頃から発信することで、普段会わないような人と同じグループになった際にも、コミュニケーションがとれるようになるのだ。さらに、イベントの模様を社内イベントで紹介することで話のきっかけを提供し、その後にオフィス、また社内イベントで再び交わったときにコミュニケーションがとれるようにしておく。この三位一体の社内コミュニケーション活性化の循環が、それぞれの施策をより効果的なものにするのである。
ここまで紹介した社内メディア、オフィス、社内イベントという従来型の社内コミュニケーション活性化施策の他に、新たに活用すべきツールも続々登場している。
例えば、バーチャルオフィスもその一つだ。オフィスの図面上に、メンバーのアイコンが存在し、そのアイコンが近くに寄ると声が聞こえる、話しかけられるような、いわば「オンライン上のオフィス」ともいえるサービスで、導入する会社も増え始めている。コロナ禍以降、急速に普及したオンライン会議サービスでは、招待されないと参加できなかったが、バーチャルオフィスなら、画面上に在席中であれば、気軽に声をかけられる。会社によっては、春にはバーチャルオフィスを花見の場所に変え、それぞれのグループ内を自由自在に行き来してコミュニケーションを活性化させる、そんな使い方をしているようだ。
今後に向けて筆者が特に注目しているのが、アバターによるコミュニケーションである。
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