攻める総務

リモートワーク手当を続けるのは危険?──制度の“当たり前”を疑え!3つの課題(1/3 ページ)

» 2022年03月28日 07時00分 公開

 新型コロナウイルスの拡大でリモートワークを始めた企業は多い。当然、在宅業務の環境は人それぞれ異なる。必要とする備品もそれぞれ違えば、自宅でのワークスペースの確保に苦戦する社員もいる。

 それらの課題を解決するため、多くの企業では「リモートワーク手当」を設けている。一定の金額を社員に支給することで、各自で必要となる備品やネットワークなどの環境を整えてもらうものだ。

 クラウドファンディングサイトを運営するREADYFORでも、コロナ禍以降、リモートワーク手当を設けていた。しかし、長引くコロナ禍の中で「このままリモートワーク手当を続けていくのは危険だ」と考えるようになった──そう話すのは、同社ワークスタイルデザイン部 部長の若林岳人さんだ。

 いったいどういうことなのか。

若林岳人さん(READYFORワークスタイルデザイン部 部長)。NECでのシステムエンジニア、PwCコンサルティングでのITコンサルタント経験、メドレーでのコーポレートIT担当を経て、2019年11月にREADYFORに参画。現在はワークスタイルデザイン部の責任者として、コーポレートITや労務関連のプロジェクトを推進中。取材はオンラインで行った(写真提供:READYFOR)

リモート手当の「3つの課題」

 若林さんはリモートワーク手当について、「会社のお金でありながら、意図した効果が得られなくなってしまう恐れがあります」と話す。

 リモートワーク手当には大きく分けて3つの課題があるという。

 1つ目は、イニシャルコストの問題だ。

 例えば、社員が「会社で使っているような作業チェアを在宅環境にも設置したい」と考えた場合、購入には5〜10万円ほどかかるのが一般的だ。

 毎月定額で支給する形のリモートワーク手当では、社員がすぐに椅子が欲しいと考えた場合、その代金を自分で立て替えておいて、毎月の手当から長期で回収する必要がある。また、リモートワークで必要な経費は、通信費や水道光熱費など、備品以外の用途にも発生するため、環境整備に充てることができる毎月の実費は、限られてしまう。

 2つ目に、使用用途の問題がある。

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