鉄道業界に必要なのは「ラガード戦略」 JR東海の「きっぷうりば」が優れているワケ万人に開かれた公共交通のために(4/5 ページ)

» 2022年01月12日 08時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]

首都圏の私鉄各社はどうか

 東北新幹線などの新幹線も同じだ。iPhoneがモバイルSuicaに対応したことで、新幹線でのチケットレスサービスは大きく普及した。その一方で駅窓口は減り、事前に駅員と話しながら切符を買うことは難しくなった。

 こういったサービスは、「アーリーマジョリティ」層まではかなりのスピードで展開するが、その先を一気に切り捨てるようになっている。本来は、その先の層にも鉄道を利用してもらいやすいようにサービスを展開すべきなのだ。

 首都圏の私鉄各社も同様である。有料座席サービスや特急などは、ネット予約を前提としている。鉄道の快適な乗り方や、便利な予約方法などをリサーチしている人には知られやすいが、そこから先の層へのリーチは難しいので、リアルによるサービスも不可欠である。

 例えば通学用の定期券は、親が一緒に買いに行くことも多い。だが自動券売機では買えず、一部の駅にしか窓口がない。となると、親は並ぶしかない。

 対して、京王電鉄では「定期券らくはや予約」を用意している。この受付サイトに学生証などをアップすれば、駅の券売機で通学用指定券を購入できるのだ。子どもがスマートフォンを上手に使えば、親は現金を持って一緒に駅まで行けばいい。

「定期券らくはや予約」(出典:京王電鉄の公式サイト)

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