週休3日制が歓迎一色でないのは、休みが増えるからといって「労働時間が減るとは限らない」「給与水準が維持できるとは限らない」上に「仕事の密度が高まる可能性がある」からだ。
そもそも、政府が想定している週休3日制は「ノーワーク・ノーペイ」が原則。1日の所定労働時間を変えずに出勤を週5日から週4日に減らすなら、そのぶん給与・ボーナスも5分の4になる、という大前提なのだ。
週休3日制を選んだ従業員に対して、企業側は給与水準を維持したままで週の労働時間を減らすとは限らない。週の労働時間を減らし、そのぶん基本給も減らすパターンも想定される。その場合、新たな休みを副業などに充てられるならまだしも、副業もできず、自己研さんもしないままで単に休むだけで終わってしまうなら、生活は厳しくなってしまうだろう。当然、企業が余剰人員を半ば強制的に週休3日制に移行させて賃金を減らす「人件費カット」の手段として使う動きが出てくる懸念もある。
週休3日制は既に導入している企業もあり、労働時間と給与の扱い別に見ると、大きく分けて3つのパターンがある。
「1日10時間労働で週4日勤務をしながら、給与は従来通り」というパターンの週休3日制だ。この場合、1日当たりの労働時間は増えるが、1週間の労働時間は変わらずに確保できる。ただし、1日の所定労働時間が8時間を超えることで割増賃金が発生するため、そのままでは企業側の負担する人件費が増えてしまう。実際の運用上は、変形労働時間制を導入することで割増賃金発生を回避することが一般的となっている。
「1日8時間労働で週4日勤務をしながら給与も減る」というパターンの週休3日制。みずほの場合は労働時間に合わせて給与も減るため、社員の希望に応じて週休3日や4日を選択できる制度になっている。週休3日の場合、給与は従来の8割。週休4日の場合は従来の6割となる。
日本マイクロソフトでは「1日8時間労働で週4日勤務をしながら給与は従来通り」というパターンの週休3日制を、19年夏に試験的に採用した。同時に業務フローの見直しや会議の短時間化など、働き方改革推進によって生産性を上げる方策を組み合わせることで、労働時間を減らしつつパフォーマンスを維持する取り組みを実施。社内アンケートでは92.1%が満足したとの結果になっているという。
ここまで紹介した3パターン、それぞれ一長一短があるが、週休3日制を導入することによるメリット、デメリットをまとめると、次ページのようになる。
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