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それでも相手に伝わらない コミュニケーションのどこに問題があるのか肝は「態度」(3/3 ページ)

» 2022年01月31日 07時00分 公開
[猪口真INSIGHT NOW!]
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態度にも価値がある

 オーストリアの精神科医、ヴィクトール・E・フランクルによれば、人間が実現できる価値は、大きく3つに分類されるという。

 まず、「創造価値」、仕事をすることや、何かを創造することによって生まれる価値のこと。通常、価値といえばこういう価値のことを言う。

 それに対して次の価値は、「体験価値」。生み出す価値に対して、享受する価値と言うべきなのか、何かに夢中になることで得られる価値、自然や芸術に触れること、人とのつながりによって得られる価値のことだ。

 そして、最後に、これが最も分かりにくい価値だと思うが、フランクルは最も重要だと言う「態度価値」だ。

 プレゼンテーションに限らず、コミュニケーションにはさまざまな状況がある。ロジカルな問題だけではなく、さまざまな感情を持ったうえでコミュニケーションは行われる。お互いがつねに絶好調なわけではない。

 態度というのは、意識、心構えと言ってもいいのだが、残念ながら、自分の意識は、他人には見えない。

 だから、どれだけ気持ち、思いを持っていても、それが表情、姿勢、行動に表れない限り、相手には伝わらない。

 ビジネスにおいて態度を表すには、必ず、表現として表す必要がある。「相手のことを理解しようと思う」気持ちを物理的に表わす必要がある。

 確かに、私たちは、「あいつの態度が気にくわない」「素晴らしい態度だった」というように、態度に対する評価はもともとある。

 しかし、これはあくまで、そう見えるという態度のことだ。

 そう思っていなくても、相手は「態度が気にくわない」と感じることもある。

 それぐらい「態度」は難しいということであり、だからこそフランクルは、人として身につけるべき大きな価値なのであり、「態度価値」と語っているのだろう。

 プレゼンテーションするとき、相手のニーズを聞くとき、状況を理解しようとするとき、大きな力となる「態度の価値」の重要さをもっと知る必要がありそうだ。(猪口真)

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