「ナイト需要」 消失でカラオケ市場に打撃 今後のカギは「歌わないカラオケ」帝国データバンク調べ(1/2 ページ)

» 2022年02月02日 08時00分 公開

 帝国データバンクの調査によると、2021年度のカラオケ市場は、新型コロナウイルス感染拡大前の19年度から約6割減となる1400億円程度と、前年に続き大幅な減少となることが分かった。帝国データバンクは「『歌わないカラオケ』への転換で、離れた客足を戻せるかどうかが今後のカギ」と指摘する。

市場調査 21年度のカラオケ市場は1400億円の見込み (画像はイメージ)

 22年1月までの企業業績(予想を含む)から、21年度のカラオケ市場は1400億円前後と推計。前年度比で4割超の急減となった20年度に比べ、21年度の減少率は3割ほどと低くなったものの、引き続き大幅な減少となる。その結果、21年度市場は、19年度(3482億円)の4割程度となるほか、直近でピークだった11年度(3837億円)からは3割台になるなど厳しい内容が見込まれている。

市場調査 カラオケ市場はコロナ前から半減。厳しい経営環境が続く(出所:プレスリリース)

 「東京都などで適用されたまん延防止等重点措置などで、深夜帯や繁華街の店舗を中心に飲み会後の二次会・三次会、『ナイト需要』が見込めなかったことも売上減につながった」と帝国データバンクは分析。

 それでも、郊外のロードサイド店などでは日中のレジャー需要で回復がみられた企業があるほか、昨年秋以降は緊急事態宣言の解除により、都市部店舗では「飲み会」後の二次会・三次会目的での来客や、年末年始にかけては小規模な忘新年会需要も発生した。

 帝国データバンクは「足元でも、抑えられていた消費が一気に爆発するコロナ後のリベンジ消費に期待感を持つカラオケ店も少なくなかった」と指摘する。オトナ女子向けメディアアプリ「LOCARI」が行ったアンケート調査によると、「コロナが落ち着いたらやりたいこと」としてカラオケが、旅行や外食などに次いで8番目にランクインし、底堅い需要があったためだ。

市場調査 「カラオケがしたい」という意見は多い(出所:プレスリリース)

 こうした動きも背景に、積極的な事業拡大や先行投資を進める企業もあった。駅前繁華街を中心に新規出店を継続してきた「まねきねこ」のコシダカHDのカラオケ事業売上高(21年9〜11月)は、前年同期比3.0%減の59億4800万円となり、厳しい経営環境ながらも小幅の減少にとどめた。

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