出光興産CDO兼CIOで執行役員の三枝幸夫氏は「別業界の方々の声を聞いていく中で気付かされる面があった」と話す。全国6400カ所、しかもそれぞれに車で出掛けて便利な場所に、それなりの規模で存在する。その上、機械メンテナンスができるエンジニアもいる。こんなに便利なネットワークは活用せねばもったいない。そんな意見が多かったという。
スマートよろずや構想では、SS内にゴーストキッチンを作って持ち帰り業態、あるいは配送業態の飲食業を取り入れたり、メカニックが所属している強みを生かして自動運転配送やドローン配送の拠点として活用したりするなど、さまざまなアイデアが取り入れられている。
SS、いわゆるガソリンスタンドは、いくら売り上げが減ったとしても、社会インフラとして内燃機関を持つ自動車が組み込まれている時代には一定以上の規模で必要となるものだ。
脳ドックからはかなり離れた話とはなったが、なるほど、トレーラーを停める場所があるSSならば、どんな地方でもスマート脳ドックを提供できる。読影者はリモートで参加できるからだ。これはあくまでも一例だから、他にもSSで提供すればというアイデアは増えてくるだろう。
ここまでに至ると新規事業開拓ということになろうが、地域ネットワークを生かすアイデアには奥行きもありそうだ。
例えば脳ドックを移動式で提供するために、地元医師会との調整を(地元のそれなりに規模の大きな企業である)SS運営社が間に入って行うことで、スムーズにサービスが提供できるなどの利点も、彼らのネットワークにはあるという。
ところで、筆者(54歳)もスマート脳ドックを受診してみたが、ほぼ異常はなかったものの、一部に“要精密検査”の所見が出た。この場合、医師の診断による精密検査となるため、健康保険適用で次のステップへと進むことができる。
世の中の変化は気付かないところで進行している。自分の健康状態も、知らないところで……なんてことがないように、安価になった予防医療を活用する機会も増えてくるだろう。
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