「そごう・西武」の売却騒動は“必然”だった!? 成功する「企業コラボ」の法則に迫る業種と業態の関係を考える(2/4 ページ)

» 2022年02月28日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

同業種同士のコラボでは相乗効果が発揮しにくい?

 このような数値的な話はあるとして、ここからは企業同士のコラボという視点で、そごう・西武売却の話を考えてみたいと思います。

 そもそもコラボとは何なのでしょうか。経営の現場においては、A社とB社という異なる企業体が手を組んで一緒にプロジェクトを進めることを指します。通常はA社が単独で商品開発をするところを、あえてB社と協業して新商品を開発したり、共同で新たな事業を興したりすることです。一緒にイベントをしたり広告を出したりというコラボもあります。そして本格的に事業を共に進めたほうが投資効率も含めて大きな成果が期待できるとなると、資本業務提携やM&Aという形態もでてきます。

 単なる役割分担の関係や下請け関係による共同作業はコラボレーションとは呼びません。

 企業コラボにはそこに参加する企業や参加する人達の自立性と、いい意味での競合関係が必要です。だからコラボは成果が出るのであって、このような関係がないところにはコラボの必要性はないとも言えます。

 企業コラボは2010年代に入ってから急激に増えたと感じています。筆者が企業コラボについての取材をもっともよく受けたのは14年です。14年は消費税が5%から8%に増税されました。そして、日本は円安で原材料・燃料の輸入価格が上昇し始め、食品や日用品が値上がりしました。このように、家計や事業に影響が出始めた年です。先行きが見えづらい中で何か打開策を見い出したいという思いが、企業の中で広がっていました。その意味では、21年から22年の現在とも世相が似ている部分があります。このような不透明な時代に効果的なのが企業コラボなのです。

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