企業のコラボレーションの在り方を、マトリックスで表現してみました。「異業種」「同業種」「異業態」「同業態」の組み合わせが考えられます。
この中で、もっとも難しいコラボが異業種・異業態の組み合わせです。
最近では、ログハウスのBESS(運営会社:アールシーコア)とアクションスポーツ小売りのムラサキスポーツがコラボしました。アールシーコアの開発した走るログ小屋を、ムラサキスポーツ仕様にカスタマイズ。サーフィンの大会時には移動して店舗としたり、選手の休憩小屋として活用したりしていくようです。今後同商品を一般販売していくことで、両社は業務提携しました。ログ小屋は千葉の一宮にあるムラサキスポーツ店舗に設置(2月中旬)され、早くもサーファーの間で話題になっているようです。
このような組み合わせは意外性があり、注目を集めやすいです。また、どのようなものが出来上がるのかといった開発経緯もメディアなどに取り上げられて、PR効果が高くなります。さらに、お互いのチャネルを活用したチャネルシフトが可能となり、売り上げにつながる効果も期待できます。ただし、ブランド力のある企業同士で、かつイメージが高い企業同士でないと組めないという点で、難易度が高いのです。
異業種・同業態というコラボも、比較的効果の高い組み合わせです。ただし、センスや感性という点で合致する組み合わせにならないと興味を持つ人が少なくなります。小売業の例で説明しましょう。最近では、ヤマダ電機(家電量販店)と大塚家具(家具)、ニトリ(インテリア用品)と島忠(ホームセンター)などが挙げられます。これらのコラボは本当に相乗効果が発揮できるのかという点が気になります。
このような企業コラボの視点で見ると、そごう×西武は同業種・同業態という組み合わせになります。そして、そごう・西武とセブン&アイHDは、同業種・異業態というコラボになります。
同業種・同業態コラボは事業内容が同じだけに組みしやすいです。業界構造をよく分かっているため企画も進めやすく、役員会も通りやすいのですが、それだけにインパクトがなく効果も低くなります。
同業種・異業態コラボも組みやすい形です。特に小売業同士の場合は、商品共有や商品開発なども大きな抵抗なく取り組めます。セブンプレミアムを西武の食品売り場で販売したり、そごう・西武のギフトをセブン-イレブンやイトーヨーカドーで販売するといったことも違和感なくできます。お互いの業界慣習なども特に説明する必要がなく、スタートを切りやすいモデルです。
だからこそ、それ以上のインパクトがなく、結果的には大きな成果を生み出しづらいコラボになることが多いのです。
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