楽天×西友のOMOが新フェーズに 「楽天ポイント」を軸に協業を強化オリジナルデザインカードを発行

» 2022年03月10日 20時35分 公開
[ITmedia]

 西友と楽天系4社(楽天グループ、楽天ペイメント、楽天Edy、楽天カード)は「楽天ポイント」を軸にオンラインとオフラインの融合を図るOMO(Online Merges with Offline)戦略に関して、4月新たな体制を展開すると発表した。実店舗を持つ西友と、ECやデジタルマーケティングに強い楽天が組むことで、オンラインとオフラインの垣根を下げ、スーパー事業の拡大を図る。

楽天と西友はOMO戦略の新たな協業体制を本格的に展開すると発表した(画像:楽天提供)

 4月1日以降、クレジットカード機能付きのオリジナルデザインカード「楽天カード西友デザイン」を発行する。これにより、同カードに付帯する電子マネー「楽天Edy」も西友、リヴィン、サニーなどの全店舗で利用できるようになるという。

 4月26日には現在の「楽天西友ネットスーパー」アプリに店舗でも使える機能を追加し「楽天西友アプリ」としてリリースする予定。同アプリにおいては「楽天西友ネットスーパー」と共通ポイントサービス「楽天ポイントカード」、スマホ決済サービス「楽天ペイ」の各機能を統合的に提供し、ネットスーパーでも店舗でも使えるアプリに進化させる。また、同日から「楽天ポイントカード」が西友グループの全店舗で利用できるようになる。

楽天の決済サービスが西友全店舗で利用可能に(画像:発表資料より)

 西友の大久保恒夫社長は、楽天エコシステムを活用し、新規顧客の獲得と既存顧客の活性化するために、楽天西友アプリのダウンロード数増加を重要なファクターの一つとして掲げた。ダウンロード数目標については「2022年に120万超、25年に500万超を目指す」(大久保社長)と述べた。

 また、大久保社長は楽天との協業のメリットについて「楽天と組むことで、現在西友に求められているネット化社会への対応を進めていきたいです。また、楽天の持つ経済圏も魅力的だと考えています。多くの会員数を誇る経済圏に西友が入り、リアル店舗とネットスーパーが一体化することで、さらに大きな経済圏を実現できます。楽天と西友は客層が少々異なるため、相互層客などお客の広がりも期待できると考えています。

 そのほか、楽天が持つデジタルマーケティングのノウハウを実店舗運営に生かしていくなど協業による多くのメリットを感じています」とコメントした。

大久保社長はネット化社会への対応などを協業メリットとして挙げた(画像:楽天提供)

 楽天グループの三木谷浩史社長は発表会の冒頭で「日本における食品のEC化率の低さ」について言及した。日本の物販系分野のEC化率は、現在8.1%。三木谷社長によると世界平均(17.9%)に遅れを取っている上、食品に限定すると、その値は3.3%まで減少するという。

日本の食品EC化率の低さ(画像:発表資料より)

 ただ、コロナ禍で世界的に各分野でのデジタル化が進んでいる。こうした背景から三木谷社長は「食品のEC化率は大きく拡大していくだろう」との見方を示し、楽天西友ネットスーパーの可能性をアピール。

「スーパーマーケットはOMO時代に突入した。4月から西友とのOMO戦略を本格展開していく」(三木谷社長)と力強く話した。

三木谷社長は楽天西友ネットスーパーの可能性をアピールした(画像:楽天提供)

 楽天グループは18年1月にウォルマートと戦略的提携を発表し、同年4月に西友との合弁会社「楽天西友ネットスーパー」を設立した。楽天西友ネットスーパーの21年の流通総額(店舗出荷/物流センター出荷の合計)は約500億円(前年比26%増)と順調に推移しているという。

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