ソフトバンクグループ(SBG)は2月8日、半導体設計大手「Arm」(以下、アーム)を半導体大手「NVIDIA」(以下、エヌビディア)に売却する計画を断念すると発表した。SBGの孫正義社長(兼会長)は、決算発表会で「合併は叶わなかったものの、2022年度中に半導体史上最大の上場を目指す」と強調した。
同社は16年にアームを約3兆円で買収し、20年9月に全株式をエヌビディアに約400億ドルで売却する契約を結んでいた。しかし、米国のほか、各国の規制当局が独禁法の観点から合併に懸念を示し、契約を解消することになったという。
孫社長は再上場について、外部投資家への還元やアーム社員へのインセンティブ、上場企業になることで透明性を確保した経営を推進することを理由に挙げた。
孫社長は会見の中で「アームは21年度から第二の成長期、黄金期に入る」というメッセージを何度も口にした。
アームはCPUで“スマホ革命”をけん引してきたものの、スマホが世界的に普及してきたことから現在の売り上げは落ち着いてきているという。同社は、クラウドや電気自動車(以下、EV)の分野での活用が期待できるCPUの開発のため、数年前から先行投資としてエンジニア採用に力を入れてきた。
孫社長は「アームの高い演算処理能力と低電力消費がスマホ以外の分野で評価されていく。18年から育てていた種が芽を出し始める年になる」と未来への期待を語った。
その言葉通り、既に世界最大規模のクラウドサービス「AWS」(Amazon Web Services)が業界で初めてアームのアーキテクチャを採用している。孫社長は「この流れは確実に広がっていく。多くの電力を使用するEVの市場にも伝播する」と自信を示した。
孫社長はアームの売却断念について「これほど各国政府が、反対に回るとは想定していなかった。今となってみれば、合併の承認は出ないほうがよかったかもしれないと考えている。それくらい黄金期に入るアームの成長と上場を楽しみにしている」とコメントした。
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