AmazonやNetflixなどのサブスクリプションサービスは消費者の生活を大きく変えた。現状は、サブスク企業の勢力図は固まりつつある。しかしそんな中でもサブスクサービスに乗り出す「後発企業」もある。すでにできあがっている構図に、いかにして分け入ろうとしているのか。その戦略に迫り、後発サブスク企業の生き残り戦略を分析する。
ここ数年で最も急速に浸透した働き方の一つに「在宅勤務」がある。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、人流が抑制され、出社を控えるよう呼びかけられた。快適なオフィスから一転、ローテーブルと座椅子などの「その場しのぎデスク」で仕事をしていた人も多いのではないだろうか。
多くのメディアやSNSで、在宅勤務用のワーキングチェアや机、照明や仕事環境の作り方に関する情報が紹介された。在宅勤務の質を向上させたいと考え、家具のサブスクリプションサービスを利用する人も増えたと聞く。
家具のサブスク市場は、2018年ころからプレイヤーが増え始めた。同年、Amazonプライム・ビデオの恋愛リアリティ番組「バチェラー・ジャパン シーズン1」でバチェラーを務めた久保裕丈氏が「CLAS」をローンチ。20年には、無印良品を展開する良品計画が参入し、21年1月には全国でのサービス展開を発表した。
ベンチャーから大手まで複数のプレイヤーが、家具サブスクの市場でしのぎを削っている。「家具メーカーから仕入れた商品を定額で貸し出す」という、差別化が難しいビジネスモデルなわけだが、各社はどのような生き残り戦略を立てているのだろうか。後発企業のサブスク戦略を取材した。
家具のサブスク事業は、確認できる範囲だと03年のフォー・ディー・コーポレーション(東京都新宿区)が運営する「スタイリクス」が日本初だといわれている。同社の小幡毅氏は「当社のメイン事業はインテリアコーディネートで、サブスクは支払い方の一つとしての位置づけ」と話す。
新品で仕入れた商品をユーザーに貸し出し、返却されたものはリサイクルショップに持ち込む形を採用している。「ひとりひとりの暮らしの夢を形に」というビジョンに基づき、ユーザーが商品を買い取った場合は利益につながるものの、返却された場合はほとんど利益が出ない場合もある。
返却されると利益が出にくい事業構造というのは少々”もったいない”気もする。先行者利益を十分に享受できるチャンスだったのではないだろうか。
もちろん、対応策を用意していると小幡氏は話す。同社は約150ブランドと提携しており、7万点ほどの家具を貸し出している。サブスク事業を通して、ユーザーと商品のタッチポイントを作ることで、メイン事業での商品の購入率を上げたり、リピーターを増やしたりして売り上げにつなげているのだ。
「サブスク」というワードが一般化する前から、サブスクのビジネスモデルで運営していた同社に対し、後発企業はどのように市場で存在感を示していったのか?
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