18年10月、サブスクライフから7カ月遅れて市場に参入したのが「airRoom」を運営するエアールームテクノロジーズ(東京都中央区)だ。600ブランドと連携するサブスクライフと比較して、airRoomの提携ブランド数は80、商品数は約1万種類のみ。
数だけでいうと、引き離されている印象を受ける。しかし、同社の大薮雅徳社長は強気な姿勢を見せる。
「確かに、商品数はサービスの優劣を決める要素の一つです。しかし、それが全てではありません。当社の強みは月額利用料の安さです。
当社は、メーカーから商品を仕入れてユーザーに貸し出す形でなく、メーカーからユーザーに直接貸し出す形を採用しています。当社はユーザーが支払う商品の月額利用料に対する手数料をメーカーに支払うというモデルです」(大藪氏)
例えば、ユーザーがA社の家具を月額4000円で利用している場合、4000円の何割かを同社がメーカーに支払う形になっている。自社で抱える在庫を最小限にできるため、コスト削減につながり月額料金を低く設定できる仕組みだ。
しかし、貸し出した商品が買い取られる割合は多くて3割程度。7割ほどは返却され、それは在庫として抱えることになる。大藪社長はオペレーション効率を強化することで対応できていると話す。
「需要予測モデルを組むことで需給のバランスが保たれるように設計しています。もちろん、人気商品は多く注文が入り、返却されることもあります。その場合は、オフィス向けの家具サブスク事業の方に流すなど在庫を持たない工夫をしています」(大藪氏)
いくらブランド数を抱えていたとしても、全ての商品を回転させられないと意味がない。在庫を持たない身軽なモデルとオペレーションを強化し、出品者であるメーカーとユーザーに金銭的な還元をして、価値を発揮していくとしている。
ここまで三者三様の戦い方を見てきた。共通するのは、家具メーカーから仕入れた商品を定額で貸し出すビジネスモデルだ。それゆえ、「ここぞ」という決定的な違いがあるわけでもなく、ユーザーとしてどのサービスが自分に合っているか見極めるのは少々難しいかもしれない。
商品のブランド数、月額使用料の多寡、利用のしやすさなどユーザーの嗜好(しこう)や状況に選択が左右されるため、まだまだ勝者を決める段階ではなさそうだ。
しかし、アフターコロナの世界では、ホテル暮らしやアドレスホッパーなど「持たない暮らし」を選択する人も少なからず出てくるだろう。時代の追い風を受けるタイミングでユーザーに価値を正しく伝えられるか、コミュニケーション戦略などがより一層重要になるだろう。
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