コロナで売り上げ3倍に 「ホットクック」が生み出した新市場とは?:家電メーカー進化論(4/5 ページ)
15年の発売以降、製品ラインアップを増やしながら、徐々に右肩上がりに売り上げを伸ばしていったホットクック。20年のコロナ禍によるステイホームをきっかけに、売り上げは約3倍と爆発的に伸び、シリーズ累計出荷台数は40万台に達するまでになった。
ホットクックの無水調理のイメージ。野菜から出た水分だけで煮込み調理ができる
その人気のポイントは、2つある。1つは無水調理機能により、食材の美味しさと栄養をキープした健康調理ができる点だ。
水を入れずに調理できる無水調理は、今となっては対応する製品が増えているもの、無水調理ができる電気調理鍋は、同時期に発売された「バーミキュラ ライスポット」以外にほとんどなかった。水を入れず、野菜から出る水分だけで調理したおかずはその美味しさで多くのファンを掴んでいった。
もう1つの人気のポイントは、「放ったらかし」で料理ができる点にある。ユーザーは食材や調味料を入れ、プログラムされたメニューを選ぶだけでよく、あとはタイマーとセンサー制御により、放っておいても調理が完了する。
食材を潰してつくるポタージュなどは、内部にある撹拌機「まぜ技ユニット」が自動で作動する仕組みだ。在宅勤務が当たり前になった時代のライフスタイルにもマッチした。
独自の「まぜ技ユニット」を搭載し、ユーザーは加熱中に操作する必要がない点が、在宅勤務にマッチした
朝、具材をセットしてスタートしておけば、夜ごはんの時間に最適な温度でおかずが完成する。この便利さはほかの家電にはない。しかも美味しくて栄養満点なのだから、申し分ない。
- 快進撃を続けるアイリスオーヤマ、家電開発部長に聞く「なるほど家電」の作り方
アイリスオーヤマの家電といえば、シンプルな機能とリーズナブルな価格帯に加え、他メーカーにない便利機能を搭載した「なるほど家電」が特徴だ。この「なるほど」機能の発想はどこから出てくるのか。アイリスオーヤマの家電開発部をまとめる執行役員 家電開発部部長 原英克氏に話を聞いた。
- AV機器メーカーが電気圧力鍋を開発、大ヒットの秘密は「なんでもできる」の廃止
テレビメーカーであるピクセラの子会社・A-Stageが、ライフスタイルブランド「Re・De(リデ)」を立ち上げ初の製品となる電気圧力鍋を発売。2年間の販売目標を8カ月で達成する大ヒットとなった。ピクセラはなぜ、畑違いの調理家電をヒットさせられたのか。A-Stage社長とピクセラ副社長を兼任する藤岡毅氏に聞いた。
- 3年間で大改革の「タイガー」、きっかけは元ソニーの女性役員
1923年創業で、ステンレスボトルや炊飯器などの多くの製品を手掛けるタイガー魔法瓶。2023年に100周年を控えた18年からは、元ソニーでVAIO事業を立ち上げるなどした浅見彰子氏が、既存事業のほか構造改革や未来のビジョンづくりに取り組む。タイガーが抱えていた課題と施策、そして100周年後の展望などを聞いた。
- コロナ禍で品切れ続出、パナのホームベーカリーが5万円でも人気なワケ
新コロナウイルス禍による巣ごもり生活で注目を集めた家電が、食パンのほか、お餅やうどん、ピザ生地なども作れるホームベーカリーだ。パナソニックは、ホームベーカリー市場でシェア1位を長く維持し、市場を牽引してきた。パナソニックのホームベーカリーの製品企画担当者へ、製品の歴史と今後について話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.