普段、何気なく口にしているレトルト食品。消費者の手元に届くまで、さまざまな技術革新や黒子企業の活躍に支えられてきた。コロナ禍でより身近になったレトルト食品のヒミツを発掘していく。
「にしき食品」という企業をご存じだろうか? 「聞いたことがあるような……」「知らない……」という回答が大半かもしれない。しかし、成城石井の「グリーンカレー」「ミネストローネ」を知っているかと聞かれれば「ああ、あの商品ね。知っているし、買ったこともある」という回答はぐんと増えるだろう。
そんな人気企業のレトルト食品を手掛けるのが、にしき食品(宮城県岩沼市)だ。約80社のレトルト食品の委託製造を請け負っており、製造数は約400種類に上る。自社ブランド「NISHIKIYA KITCHEN(ニシキヤキッチン)」でも100種類ほど商品を展開している。自社ブランドの2021年の売り上げはコロナ禍が追い風となり、前年比1.2倍を記録した。
製造数や取引社数などの実績を見ると「確かにすごそう!」となるわけだが、なぜ企業はこぞってにしき食品に頼るのだろうか? 取材をしたところ、開発力と独創性にヒミツがあることが分かってきた。
「開発力がある」といわれて、イメージすることの一つに「新商品数」があるだろう。にしき食品の新商品数は年間60〜70品。6日に1回、新商品が誕生している計算だ。そして、年間の試作回数は4000回。1年間の営業日が244日だとすると、1日に約16回試作品を作っていることになる。その中でも、新商品として世に出る確率はたったの1.5%ほどだ。
ここで、「1日に16回も試作品を作っていたら、レシピが枯渇してしまうのでは?」という当たり前の疑問が生まれる。そこをカバーするのがにしき食品の「独創力」だ。
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