普段、何気なく口にしているレトルト食品。消費者の手元に届くまで、さまざまな技術革新や黒子企業の活躍に支えられてきた。コロナ禍でより身近になったレトルト食品のヒミツを発掘していく。
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これまで、連載「レトルト大好き! K記者がフカぼった」としてレトルト食品製造に携わる2社を紹介してきた。今回は番外編として、身近で手軽なレトルト食品から一転、手を加える点は変わらないものの、飲食シーンが対照的な「宇宙食」にスポットを当ててみたいと思う。
現在、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が認証する宇宙日本食は48品目に上る。27企業が宇宙食を提供していて、その中で最も認証品目数の多い企業が「日清食品ホールディングス(以下、日清食品HD)」だ。「日清スペースカップヌードル」「日清スペースチキンラーメン」など計7品目が認証を受けている。
同社の宇宙食開発のきっかけは、2001年にさかのぼる。創業者・安藤百福の強い思いから、JAXAと共同開発を進めることになった。そして、宇宙食ラーメン「スペース・ラム」の開発に成功。05年7月には、宇宙飛行士の野口聡一氏の宇宙食としてスペースシャトル「ディスカバリー号」に搭載されて、宇宙に出発した。
その後、07年6月に「宇宙日本食ラーメン」3品(しょうゆ、シーフード、カレー)がJAXAにより宇宙日本食として認証された(18年に「日清スペースカップヌードル」「日清スペースシーフードヌードル」「日清スペースカップヌードルカレー」に名称を変更)。
同社の看板商品のカップヌードルだけでなく、「日清焼そばU.F.O.」「日清カレーメシ」シリーズも宇宙日本食認証を受けている。加えて、宇宙飛行士の野口氏のリクエストに応じて、「スペース・チラシ」「スペース・ブタシャブ」「スペース・カシワモチ」などの特注品も開発。実際に、09年12月からの野口氏の長期滞在時に使用された。
ここまで、同社の宇宙食開発の歴史を振り返った。もちろん、その開発への道のりは平たんではなかった。舞台は無重力空間だ。カップヌードルともなれば、湯戻しや重力といった課題が立ちはだかる。
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