日本人特有の同調性――。確かに白マスクを着ける人が圧倒的に多い日本では、黒マスクは少数派かもしれない。「周りの人とマスクの色が違う」という状況に気恥ずかしさを抱く感覚は、何となく理解できる。ただ、これほど商品が話題を呼ぶ理由は、ほかにもあるのではないか。
消費動向などに詳しい博報堂ヒット習慣メーカーズの山本健太さんに詳しく分析してもらった。
山本さんは「『黒マスクが恥ずかしい』というニーズが実際に強いわけではなく、くすっと笑えて誰かに話したくなる”おもしろ日常雑貨”としての側面が強いのではないか」と分析する。
SNSユーザーの反応を見てみると、「憧れの黒マスク」という商品キャッチコピーに対して「そんなに黒マスクってハードル高い?」「黒マスクに憧れは意味が分からない」などと、商品コンセプトに面白おかしく突っ込みを入れているものが多い。
「商品やサービスの開発において、SNSで話題になる1つのセオリーが『話題にしたくなる楽しい商品』。実益が優れていることに加えて、エンタメコンテンツ性のある商品開発は、作り手が楽しみながら開発した商品であることが伝わりやすく、ユーザーと一緒に盛り上がれるという側面があり、話題になりやすい傾向がある」(山本さん)
「これまでの商品でも、白/グレー/黒のセットマスクはあったが、『色が徐々に変わる』という少しシュールで突っ込みたくなる商品アイデアが受け入れられているようだ」(同)
SNSを大勢の人が利用する時代、商品の作り手にとって、SNSを通じて商品の認知を広めるというマーケティング手法は欠かせない。とりわけ、マスクのように誰もが使う商品を広く認知してもらうためには、話題性を作り、露出させる必要がある。その1つの手段として「ユーモラスに見せる」方法が使われているという。山本さんは「この傾向は今後も続いていくのではないか」と話す。
銀座にダイソー旗艦店オープン 注目の商品から見えてくる販売戦略とは?
キッコーマン「密封ボトル」しょうゆ、使い切る裏ワザとは 「ピー」の音に隠された”企業努力”に迫る
「イケアのサメ」に「ニトリのネコ」家具大手ぬいぐるみ なぜ人気?
ウクライナが日本に求めるSAR衛星データとは? 雲に覆われた地表も丸裸にする技術に迫る
「ヤマザキ春のパンまつり」白いお皿を配り続ける狙いは?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング