C-FACEの反響を「想像以上」と小野氏は振り返る。フジテレビ『Live News α』で取り上げられたことで一気に話題となり、投資家向けクラウドファンディング「FUNDINNO」ではわずか3分49秒で上限金額の2800万円を集めた。その後、上場企業から数億円の資金調達に成功している。
「人類が国際交流を広げようとする中、コロナ禍はそれが止まる未曾有の危機でした。それに対し、テクノロジーを使って感染対策と意思疎通が両立できることに希望を持つ人は多かったのだと思います。また、そんな商品を作ったのが福岡の田舎発のたった3人のスタートアップだったことも、話題になった要因の一つでしょうね」(小野氏)
世界中のメディアから取材を受け、36カ国約150社から問い合わせがきているものの、ハードウェア認証の兼ね合いで国外への販売はまだできていない。
日本でも商品購入型クラウドファンディング「Makuake」の反響は、投資家向けと比べて低かった。話題にはなるものの、半鎖国状態の日本で翻訳機が必要な場面は少なく、販売個数は6000枚ほど。大きな売り上げにはつながっていないのが現状だという。
今後の販売戦略を尋ねたところ、小野氏からは「翻訳市場でシェアを取ろうとしているわけではない」という意外な答えが返ってきた。
「C-FACEのおかげで会社のステージは確実に上がりました。世界的なニュースになったことでプレゼンスは高まり、今後の動きにも注目してもらいやすくなったと感じます」(小野氏)
会社のプレゼンスを高めた先に目指すのは、「2050年、意識を持った人型ロボットで世界を変える」未来だ。
人型ロボットの構想は、政府が掲げる「ムーンショット目標」にも重なるという。ムーンショット目標とは「50年までに人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会の実現を目指すもの」。近年、世界の人口が急激に増え、環境破壊や食料危機が深刻化しているのは周知の通り。地球の存続が危ぶまれる中、「ロボットの体で生きる未来もあり得る」と小野氏は考える。
「いくら意識があるとはいえ、ロボットの体で生き続けるなんて想像できない。人類が全員ロボットとして生活するなんてディストピアだ……」と思う人もいるだろう。
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