これまでの7カ月のトライアルを経て、顧客の満足度や売り上げを下げることなく、社員の働きやすさを向上させることができたという一定の成果は得ている。
ただし、同社には「すべての営業拠点で一律の日曜定休を導入することがゴールではない」という考えがあり、社員からも一律の日曜定休を望まない声が多かった。このような背景から、「日曜定休のトライアルは期間を設けずに継続する」という判断にいたったという。
22年度は、これまでにトライアルを実施したパークコート白金長者丸とパークホームズ志村坂上 ザ テラスの2カ所のほか、物件立地やターゲット層などを変えた営業所で新たにトライアルを実施する予定だ。
「不動産は、物件ごとにターゲットや特徴が異なる裾野の広い商材です。今回、新築マンションでは隔週の日曜定休を求める声がほとんどでしたが、これが郊外のファミリー向けの物件となったら、また事情が異なるはずです。物件の特徴によってベストな売り方が変わり、それに応じた働き方のパターンがいくつかあると想定しています。その答えがある程度見えてくるまではトライアルを続けるつもりです」(蛭田氏)
現状はまだコロナ禍であることから、「アフターコロナにおける消費者の行動変化も見て、慎重に進めたい」と蛭田氏は付け加えた。
日曜定休の取り組みは不動産大手において異例ともいえるが、三井不動産には「業界の働き方改革を牽引したい」といった狙いはないようだ。
「不動産業界全体が働きやすい環境になれば、業界で働きたい人が増えるかと思いますが、『啓蒙(けいもう)したい』といった考えにはいたっていません。賃貸、中古を含め、あらゆる物件が存在するなかで、業界一律で働き方を変えることは必ずしもよいとは思いませんし、顧客ニーズにも合っていないかなあと。事業者の考えと商材をかけ合わせて検討するべきではないでしょうか」(蛭田氏)
写真提供:三井不動産
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