「謝罪で済む問題ではない」「こういう発言がサラッと出てしまうということは、この人も会社も女性をそんな風にとらえているってことだろ!」
そんなすさまじい怒りの声を受けて、10年かけて開発した「親子丼」の発表会が急きょ中止に追い込まれた。批判の的となっている役員の解任も検討されているという。
早稲田大学の社会人向け講座「WASEDA NEO」の一環として行われた「デジタル時代のマーケティング総合講座」に、吉野家の常務取締役企画本部長が登壇して、女性向けマーケティング施策を「生娘をシャブ漬け戦略」などと表現したのだ。(参照記事)
参加者の証言によれば、これは「田舎から出てきた若い女性が、男性におごられて高級な料理の味を知る前に牛丼漬けにする」ということを指していたという。牛丼は都会の食べ物で、女性が利用しないのは、男性に食事を奢(おご)られるせいだという独特の世界観もさることながら、やはり多くの人が不快に感じるのは、女性をモノ扱いするワードセンスだ。
ご存じの方も多いだろうが、違法風俗や管理売春をさせる犯罪者は、女性に覚醒剤を強要して判断力を鈍らせて逃げないようにさせることが多い。
例えば、2014年に兵庫県で摘発された「援デリ」(援助交際デリバリー)では、出会い系サイトなどで「簡単なアルバイトがある」とうそを書き込み、20人以上の少女をホテルの一室に誘い込み、覚醒剤を吸引させて判断力を鈍らせて売春させていた。犯人の一人はこう言っている。
「集めた少女を薬漬けにして売春させた。楽して金もうけがしたかった」(産経新聞 2014年8月15日)
この種の犯罪は日本だけではなく、海外でも多くの女性が被害を受けている。吉野家は人権・ジェンダーの観点から許容できないと言っているが、そういう次元の話ではない。「犯罪教唆」のそしりを受けてもしょうがない大失言だ。
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