「生娘をシャブ漬け戦略」で大炎上! なぜ吉野家の役員は“暴言”を吐いたのかスピン経済の歩き方(5/6 ページ)

» 2022年04月19日 09時38分 公開
[窪田順生ITmedia]

言葉遣いが荒くなるとき

 なぜ筆者がそんな風に考えるのかというと、実際にそのような経営者をたくさん見てきたからだ。筆者は報道対策アドバイザーとして、経営者の記者会見前の事前練習などよく立ち会う。また、ときに経営者のスピーチ原稿や、自著のゴーストなどもしてきた。

 そこで気付いたのは、新事業や改革など大きな勝負を仕掛けているときの経営者というのは、気持ちが昂(たかぶ)っているのか、言葉遣いが荒っぽくなることが多い。戦闘モードになっているからなのか、「ぶっ殺してやる」的なオラオラ系発言が増える傾向にあるのだ。

 例えば、10年ほど前、ある有名経営者とお話をすることがあった。マスコミに出るときなどは穏やかな感じの人なのだが、ある挑戦的な新事業を進めていて、気持ちが昂っていたのか、発言がかなり雑というか、口が悪くなっていた。

 自社に不満を述べるような顧客やマスコミを引き合いに「アホ」「死んだほうがいい」など問題発言を連発して、「あんな連中はウチのサービスを使わなくていい」など言いたい放題だった。内輪の会合だったので、ある意味ストレス発散しているような感じだった。もしこれが外に漏れていたら、今回の吉野家役員のようにボコボコに叩かれていたような不適切発言のオンパレードだった。

2022年2月期の決算説明会資料より

 このようなケースはいくらでもある。経営者も完全な人格者というわけではないので、普段は下ネタや差別発言をポロッと言うような人もかなりいる。公の場で話すときやインタビューでは取り繕っているだけなので、ちょっとしたメンタルの変化でうっかりとその「地」がでてしまうのだ。

 繰り返しになるが、だからと言って、吉野家の役員を大目に見ろなどと言いたいわけではない。ただ、他人事ではないので、お気をつけていただきたいということを言いたいのだ。

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