また、16年に実施された総務省の調査によれば、臨時・非常勤職員は全国に約64万人存在し、05年から約19万人増加。地方自治体で働く公務員の3人に1人が非正規公務員です。
非正規公務員は、純粋に「公務員の人手不足」を補う目的で雇用されているので、常勤公務員と仕事の差はなく、仕事上の責任も極めて重く、かつ専門的な知識が求められます。にもかかわらず、賃金は2分の1から3分の1程度。いわゆる「官製ワーキングプア」です。
さらに、さらにです。
先日、内閣府が公表した資料、「我が国の所得・就業構造について」によると、氷河期世代を含む「35〜44歳の単身世帯」の所得のボリュームゾーンは、1994年の500万円台から、300万円台へと200万円ほども減少していることも分かっています。
つまり、「同一労働同一賃金」だの、「女性活躍」だの、「ジョブ型」だの、そして「週休3日」だのといった、「幸せに働く」ための制度やスローガンは、ごく一部の恵まれた人たちだけに向けられたものでしかないのです。
念のため繰り返しますが、私は週休3日制の導入は、大賛成です。
しかし、なぜ、足元の問題をおきざりにするのか。
非正規の問題も、シングルマザーの貧困問題も、官製ワーキングプア問題も、一時的にスポットがあたっても、「なかったこと」にされ続けている。
その結果が、今の日本社会です。“土台”を根本的に見直す改革を進めなければ、国の未来はない──そう思えてなりません。
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。
研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)、『他人の足を引っぱる男たち』(日経プレミアシリーズ)、『定年後からの孤独入門』(SB新書)、『コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)『THE HOPE 50歳はどこへ消えた? 半径3メートルの幸福論』(プレジデント社)がある。
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