ギョーザの無人販売所は、全国にどれくらいあるのか。
過去に筆者が「餃子の雪松」を経営するYES(東京都国分寺市)に確認したところ、昨年6月には約170店の店舗があった。ところが、1年もしないうちに200店も増えていた。すさまじい勢いである。
展開エリアも、昨年6月当時は関東、北は福島県まで、西は大阪府までに店舗があるのみだった。ところが、現在は北海道を除く、ほぼ全国にまで広がってきた。コロナ禍で閉店する店舗が増えたことで、空き物件も多く出ていたという背景もあるだろう。
しかも、「餃子の雪松」のビジネスモデルに倣った新規参入業者が次々と出現している。筆者が、主なギョーザの無人販売所の店舗数を数えたところ、おおよその業界地図が見えてきた(公式Webサイトや食べログ、Twitterなどを参照)。
【主な餃子無人販売所の店舗数(カッコ内は運営会社所在地)】
こうして見ると、「餃子の雪松」が他を圧倒的に引き離して業界トップ。あとは小チェーンが乱立している状態だ。今は小規模でも、1〜2年後にはあっという間に業界2〜3位に躍り出るチェーンが出現することもあり得る。
後述するが、コロナ禍になってから「餃子の雪松」の成功を見て、どっと参入してきた新しいチェーンの背後には資本力のある事業者が多い(大手・中堅の外食など)。イチから起業してのし上がろうという、生粋のベンチャーが少ないのも特徴だ。
ギョーザの無人販売所が成功するには、“味”がもちろん重要だ。しかし、ギョーザを大量生産する工場設備や、店舗を大量出店する物件開発といったように、イニシャルコストがかかる。そのため、誰でもできそうに見えて、資本力がないと競争に勝つのは難しいと考えられる。
ただし、いったんオープンしてしまうと、店舗を運営していくランニングコストは低く抑えられる。無人で24時間営業できるので、人件費がほとんどかからないからだ。家賃についても、駅前一等地のような高い場所を借りる必要がないので、それほどかからない。冷凍庫を動かす電気代はかかるが、そこまで目くじらを立てるほどではないだろう。
ギョーザの無人販売所ができると、地域の人がSNSで情報を拡散してくれる。また、話題の業態なので、ローカルな情報誌やテレビ局の取材が入るチャンスも多い。従って、販促費もそれほど要らない(現在、「餃子の雪松」はテレビCMにも注力している)。
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