ビヤホールのコンセプトは「豊穣と収穫」。ということもあって、所々に豊かな実りを感じられる大麦や葡萄がモチーフの装飾が描かれている。赤レンガの壁は「豊かな実りをはぐくむ大地」をイメージしていて、ホールの左右に並ぶ緑のタイルと天井に伸びる太い柱は「大麦」を表現しているそうだ。
また店内には、ビールの泡をイメージしている水玉模様の照明があったり、葡萄の房をイメージしたシャンデリアもあったり。ちなみに、水玉模様が描かれているモノと、そうでないモノがある。その理由を聞いたところ、「長い歴史の中で、半分ほど割れてしまいまして。同じモノを再現することは難しく、割れたところの照明はデザインが施されていません」(青山さん)という。
その昔、電球が切れたときには、店内のスタッフが交換していたそうだ。いまは、業者の人がやって来て、交換作業を行っているわけだが、なんらかのトラブルで、もし割ってしまえば大変なことになる。「さーせん。ちょっと手を滑らせちゃって」では許されないので、レプリカのようなモノをつくることはできないのか。いや、照明だけではなく、店内には“替えのきかない”モノがたくさんあるので、10年後、20年後のことを考えると、いまから準備をしてみてはどうだろうか(たぶん、時間がかかるので)。
さて、話はちょっと変わる。現在のビヤホールのメニューを見ると、さまざまな料理が並んでいる。ローストビーフ、生ハム、フライドポテト、ナポリタン、カニサラダなど。では、オープン当時はどんなメニューを用意していたのだろうか。料理はシンプルで、種類も少なかった。フライビーンズ、キングチップス、チーズ、サンドイッチなど。夏の名物として、冷やしおでんもあった。
当時としては珍しく、店内にはエアコンが設置されていた。しかし、たくさんの客が押し寄せて、タバコの煙が立ち込めていたこともあって、あまり効果がなかったようだ。こうしたこともあって、冷やしおでんが人気を集めていたようである。
料理の数は7種類。その中に気になるメニューがあった。「エビス煮」である。エビス煮なんて食べたこともなければ、見たこともなければ、聞いたこともない。どんな料理なのか想像がつかなかったので、青山さんに尋ねたところ「社内でもこの料理がどんなモノなのか、知っている人がいませんで」とのこと。当時、「レシピ」という言葉はなかったと思うが、もし画像や調理法などが発見されたら、公表していただきたいものだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング