JR東、犬同伴の旅行ツアー「わん!ケーション」発売 ケージ不要で新幹線乗車可、狙いと課題は?(2/2 ページ)

» 2022年04月27日 19時13分 公開
[樋口隆充ITmedia]
前のページへ 1|2       

ペット同伴の鉄道利用に課題 愛犬家の8割「自家用車」を利用

 JR東などは、ペットライフメディア「PETOKOTO MEDIA」を運営するPETOKOTO(ペトコト、東京都新宿区)とツアーを実施する。各社がこうした取り組みを行う背景には、ペット同伴の旅行を巡る制約がある。

 盲導犬を除き、現在、ペット同伴で公共交通機関を利用する場合、車両内ではケージなどから出さないことが乗車条件になっている。ペトコトが愛犬家225人を対象に実施した調査では、コロナ収束後の愛犬とのお出かけや旅行に意欲的な飼い主が99%だった一方、43%が「お出かけ・宿泊先で愛犬との行動が制限される」と回答。84%が移動手段に「自家用車」と回答するなど、ペットに関する移動面や宿泊面での課題が浮き彫りになった。

photo
photo
photo

 JR東日本グループは、経営ビジョン「変革 2027」で、駅や公共交通のあり方について「交通の拠点」から「暮らしの プラットフォーム」への転換を目指している。車両内でも愛犬とのリラックスした時間を一緒に過ごしたいというユーザーの要望に応えるため、ペトコトとツアーを企画した。

アレルギーや被毛対策など課題山積

 ただ、目標とするペット専用車両の実現には課題も多い。私鉄では西武鉄道が2010年11月に犬専用車両「いぬでん」を試験的に実施したが、単発に終わっている。ケージから出すことで、ペットの毛が座席に付着するほか、ペット特有の匂いやアレルギー対策など複数の対策が必要なためだ。

 特に新幹線では迅速な清掃活動が求められる。実証実験では獣医師が獣医療知識に基づいた被毛対策を徹底するとともに、アレルギー対策としての車両内の特別清掃を実施し、清掃に必要な時間なども検証する。

photo ケージ入れた犬のイメージ(提供:ゲッティイメージズ)

 JR東は「ニューノ ーマルに合わせた新たなサービスの提供とともに、より一層ペットと暮らしやすい社会の実現に取り組んでいく」としている。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.