なぜ駅ナカに? 「ガチャガチャ」専門店が相次ぎオープン 市場規模は400億円超進化するカプセル玩具(2/2 ページ)

» 2022年05月05日 08時00分 公開
[ITmedia]
前のページへ 1|2       

「訪日客に日本ならではのフィギュアを」

 ケンエレファントが大人向けのカプセル玩具ショップを駅ナカに出店し始めたのは、2020年。JR東日本のグループ会社から「東京五輪の訪日客向けに、日本ならではのカプセル玩具ショップを新橋駅に出店しないか」と提案を受けたのがきっかけだった。

 両社はこれまでも協業しており、全国のご当地のお土産雑貨やフィギュアを集めた専門店を17年からJR上野店で運営してきた。

2020年7月にオープンしたケンエレスタンド新橋駅店(ケンエレファント提供)

 当時、駅ナカにはコロナ禍で一部空きテナントが出始めていた。その穴を埋めるようにして、大人向けカプセル玩具の専門店をオープンした。すると、これが大当たりした。

 駅ナカはもともと通行量が多い。上野駅でショップを運営していた経験から、「大人もフィギュアに関心があることは感覚的に分かっていた」と青山さんは話す。

近年はアイテムの多様化が進む(ケンエレファント提供)

 近年は、アイテムの多様化も進む。ケンエレファントが大人向けのフィギュアを展開し始めた16年頃は、まだアニメのキャラクターをモチーフにしたアイテムが主流で、各カプセル玩具メーカーが新規に出すアイテムも月当たり約100〜150種類だったという。

 これが近年はメーカーも増加し、月当たりに販売されるアイテムも300〜400種類と急増。「市場は年々拡大している」と青山さんは話す。

企業側からフィギュア作製の依頼も

 購入していく客層は大人の女性が多い。ケンエレファント広報の森江智世さんによると、同社のSNS公式アカウントのフォロワーも女性の方が比較的多いという。

 一方で、アイテムによっては男女の区別なく人気のものも多い。純喫茶をモチーフにしたアイテムだと「サラリーマン時代に純喫茶に通っていた男性が懐かしさから購入していく人もいる」(森江さん)。近年、流行する「昭和レトロ」などといった過去を懐かしむことができるモチーフは、カプセル玩具とも相性がいいようだ。

文房具も懐かしさから人気を呼ぶ(ケンエレファント提供)

 また、企業とコラボしたアイテムでは、ケンエレファントから企業に打診するケースもあるが、「うちの商品のミニチュアフィギュアも作ってほしい」と、企業から依頼が来ることもあるという。確かに、造形映えのする小さなフィギュアは、企業にとっても大きな宣伝効果になる。

グランスタ東京店ではフィギュアのもとになった実物の商品も販売している(4月27日、筆者撮影)

 カプセル玩具の自販機は米国で誕生し、日本には1965年に初めて導入されたと伝わる。半世紀以上が経過し、「カプセル玩具を知らない」という世代はほとんどいない。ケンエレファントの青山さんは、「カプセル玩具は日本のカルチャーとしてすっかり根付いている」と話す。

 通勤で利用する駅ナカに相次ぎオープンしているミニチュア専門店。そこには、仕事で疲れた社会人の心を癒す、オアシスのような趣さえある。カプセル玩具の人気は今後も続いていきそうだ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.