マクドナルドのテークアウト/デリバリー成功の要因はどこにあった? 絶好調で時短協力金も辞退 妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(3/6 ページ)

» 2022年05月13日 07時45分 公開
[妄想する決算ITmedia]

マクドナルドHDの成長を支える、テークアウトとデリバリー

 ではコロナ禍で店内飲食が悪影響を受ける中、どうしてマクドナルドHDがこれだけ成長を続けているのかというと、それはもちろんテークアウトやデリバリーが支えているためです。

 店舗内でのテークアウトが多いのはもちろんのこと、22年3月末時点では全店2942店舗のうち、ドライブスルー対応が1511店舗、デリバリー対応が2067店舗、パーク&ゴーというモバイルオーダーをして駐車場で受け取れるサービスをしている店舗が1056店舗と、店舗外の対応店も非常に多いです。

 ではどうしてテークアウトやデリバリーに力を入れると、これだけの成長ができるのでしょうか?

 飲食業の売り上げを分解すると「客単価×客数」に分解でき、さらに客数を分解すると「客席数×回転率」に分けられます。

 つまりテークアウトやデリバリーを増加させると、店舗の客席数という枠組みに縛られる必要がなくなるので、実質的な客席数の大幅な増加につながり、結果として売り上げの増加につながるわけです。

 さらにマクドナルドHDでは、公式アプリのアクティブユーザー数が月間2300万人にもなっていて、スマホで支払いまで済ませるモバイルオーダーも浸透しています。これによって、注文をするための「レジのレーン数」という制約も取り払うことができています。

 つまり、テークアウト、デリバリー、モバイルオーダーの強化によって店舗のサイズという上限を突破し続けているので、成長が続いているわけです。

 ちなみにマクドナルドHDは、新店の出店だけではなく既存店舗の建て替えや改装なども積極的に進めていて、ドライブスルーレーンの拡張や厨房機器の増強、更新にも前向きです。単純に老朽化した店舗が増えているからというだけではなく、テークアウトやフードデリバリーによって増加する注文量に対する強化を進めていることが分かると思います。

 また、店外飲食に力を入れる一方で、おもてなしリーダーという接客のみを行うクルーを配置した店舗を増やしたり、テーブルサービスというテーブルまで商品を届けるサービスをする店舗を増やしたりと、店内飲食では体験価値を向上させる施策を増やしているのもさすがです。

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