サイゼリヤがコロナ前をはるかに上回る利益水準になった理由NEW! 妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(1/7 ページ)

» 2022年05月10日 07時00分 公開
[妄想する決算ITmedia]

 決算書で分かる日本経済の動向ということで、4回連続で飲食企業4社の決算を取り上げて、日本の飲食企業の現状を見ていきます。

 決算書といえば投資やビジネスといった視点で見るイメージがあると思いますが、より一次情報に近い経済ニュースとしてとらえる事も可能ですので、そういった視点で取り上げていきます。

 今回取り上げるのはサイゼリヤです。もちろんイタリアンのファミリーレストランであるサイゼリヤを運営している企業です。店舗展開としては、すべて直営店で行っており、食事形態としては店内飲食がメインの企業です。

 今回は同社の決算から、直営・店内飲食中心の業態の現状とサイゼリヤの今後を考えていきましょう。

コロナ以後、苦しい状況続く

 まずは直近の決算を見ていく前に、ここ数年間のサイゼリヤの業績の推移を確認していきます。

コロナ前からコロナ後にかけてのサイゼリヤの売上高推移

 売上高の推移を見ていくとコロナ以前は右肩上がりで成長していたことが分かります。しかし2020年8月期は売上高は19%減、21年8月期になってもほぼ横ばいと、コロナ以後は苦しい状況が続いています。

 ご存知の通り外食産業は、時短営業や外出抑制などの影響を受けてしまったわけです。

 とはいえ20年にコロナの影響が出始めたのは2〜3月以降で、業績への悪影響としては半年程度。21年の8月期は通期を通してコロナの悪影響があったことを考えると、業績は回復傾向ではありますね。

コロナ前からコロナ後にかけてのサイゼリヤの営業利益推移

 続いて営業利益の推移を見てみましょう。

 17年8月期〜19年8月期を見ると、十分に利益が出ているとはいえ、売上が右肩上りだったにもかかわらず営業利益面では増減を繰り返しています。

 店舗数の推移を見ると次のようになります。

  • 2017年8月期:1000店舗
  • 2018年8月期:1022店舗
  • 2019年8月期:1041店舗

 店舗数が増加していますので、店舗の増加で売り上げは増えていたものの、出店によるコストの増加や、店舗当たりの収益性が悪化していたことが考えられます。

 そして20年8月期には38億円、21年8月期には22億円の赤字へと転落しており、コロナの影響を受けて営業利益赤字が続いていることが分かります。

 苦しい状況は継続していたということですね。

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