2位となったのは大島商船高等専門学校の大島商船 農業支援研究会。作品名は「New Smart Gathering(ニュースマートギャザリング)」だ。企業評価額は10億円、投資額は3億円だった。こちらも5人の審査員全員が投資したいと評価した。
New Smart Gatheringはキクラゲの生産を効率化するものだ。現状のキクラゲ生産は「高齢の方が、温度、湿度が非常に高い、厳しい環境のビニールハウスで働いており、後継ぎも見付けにくい」(大島商船 農業支援研究会メンバー)。こうした問題を解決するために、ディープラーニングとVR、ロボティックスを組み合わせて、New Smart Gatheringを開発した。
ハウスにある収穫対象のキクラゲの菌床を、夜間に撮影してディープラーニングで認識する。これにより、日中に遠隔地からVRで菌床を確認できるようになり、ロボットアームを使った効率的な収穫が可能になる。
ハウス内での菌床の移動には、スキー場のリフトのような吊り下げ型の移動システムを使う。現在よく使われているベルトコンベアー型の移動システムに比べ、コストを半減できるという。
New Smart Gatheringを使うには、関連する装置が全て必要になるため導入は大がかりだが、高齢化や人手不足などの問題が解消すると同時に、売り上げの倍増が見込めるとする。
キクラゲを対象にした理由は、「高専の近隣にあるキクラゲ農家の方とお付き合いがあったことがきっかけではあるが、New Smart Gatheringについて考えるうち、単価が高く、採算が取りやすいキクラゲは研究対象として適切だと感じるようになった」(大島商船 農業支援研究会メンバー)。キクラゲ以外であっても、菌床のようなユニットで生産できる作物であれば応用が可能だという。
3位は佐世保工業高等専門学校のIha_labo。作品名は「OtodeMiru〜音解析技術を用いた森の見守りシステム〜」だ。企業評価額は10億円、投資額は3億円と、2位の大島商船 農業支援研究会と同額だったが、投資をしたいと評価した審査員の数で差が付いた。
OtodeMiruは、音から周囲の状況を判断し、害虫・害獣を発見する。音声を認識するセンシングデバイスを、一定間隔ごとに置くことで、害虫・害獣がいる位置を特定できるため、駆除に役立つという。解析結果はスマートフォンにアプリに表示する。行政や環境調査などへの装置のレンタルを想定している。
研究のきっかけは「対馬で問題となっている、特定外来生物のツマアカスズメバチの駆除に協力したい」(Iha_laboメンバー)という思いだ。現在は森での音声31種類を認識可能だという。将来的には、「害虫・害獣駆除や森での使用以外にもさまざまな場面での展開が考えられる」(同)とする。
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