Sonosが最初に製品を発売したのは2005年だ。家庭内に置かれた音楽サーバの音楽データをWi-Fiや有線LANで再生しようというアイデアは00年ぐらいから存在していたが、彼らの技術はユニークなものだった。
ソノス製品が1つでもWi-Fiでネットにつながっているなら、バケツリレー式に全ソノス製品がつながり、しかも完全に同期して音楽を鳴らせるというものだ。今日、当たり前のように思えるかもしれないが、無線でつながったオーディオ機器が完全に同期(ズレが全くない)というのはなかなか斬新だった
それ故にソノスの存在を筆者はよく知っていた。筆者だけではなく、ソノスを体験したレビューアは一様にソノスを絶賛していたのを覚えている。ところが、その後、なかなか日本には参入しなかった。
理由は明白で、技術的には優れていたものの業績が振るわず、次世代製品を開発することにも一苦労していたからだ。そんな低空飛行を続けているベンチャーが、アジア圏に進出する余裕などあるはずもない。
そんなソノスが“確変”し始めたのは、あらためて顧客目線で自社の製品を見直したからだ。
オーディオ製品は、第一に音質で評価されるもので、どんなに便利でも音が悪ければ高い価値は期待できない。
そんな話をソノスの上席副社長で製品とユーザー体験を担当するテッド・ドウォーキン氏に話すと「全くその通り。音質に対してフォーカスしてきた。しかしある時、われわれは気付いたんだ。ソノス製品を楽しむ消費者は音楽を愛しているのだと。われわれの製品はミュージシャンや音楽制作に関わる人たちの意見を最大限に取り入れている」という答えが返ってきた。
ミュージシャンや音楽制作の関わる人たちが、制作の現場で聴いている音。当然ながらスタジオは部屋ごとに音響特性が調整されている。そうした部屋に近い体験を提供するよう音質にこだわり続けてきたことが、今日のソノスブランドを作り出している。
ただ、それだけで成功したわけではない。
まだ業績が上向かない中でも改良を続け、顧客目線で「こうあるべき」と開発投資をしてきた結果、時代がソノスに追い付き、音楽業界がストリーム配信中心のエコシステムになったことで、ソノスはIT業界の巨人も一目置くユニークなワイヤレススピーカーのメーカーになった。
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