ソノスがユニークな存在になれた理由は、前述したように音質(あくまで音楽表現の質という意味だ)にフォーカスし、音楽制作のエンジニアやミュージシャンと協業してきたこともあるが、“顧客の目的を果たすために余分な負荷を減らす”という当たり前のことを愚直に行ってきたからでもある。
当初、ソノスのシステムは専用サーバで音楽データを共有するというものだったが、すぐに顧客ニーズをくみ取り、音楽配信サービスが市場を形成し始める前の黎明(れいめい)期から、スピーカー本体が配信サービスにアクセスして音楽を鳴らすようシステムをアップデートした。最初の製品を発売した翌年=06年のことだ。
実際に音楽配信サービスが音楽産業の中心になるまでには時間が必要だったが、今日、ソノスが日本特有の配信サービスを除き、グローバルのほとんどの地域の配信サービスを直接利用できるのは、彼らが配信サービスとワイヤレススピーカーをダイレクトに接続するアイデアを実践したブランドだからだ。
結果としてソノスは“確変”を果たし、次の製品を開発するための現金枯渇に悩んでいた時代を忘れるほど業績を伸ばしている。ストリーミング配信の時代を迎え、過去3年でソノスを保有する世帯は2倍になったというが、ユニークなのはソノスを購入した世帯の多くが追加でソノス製品を買っていることだ。
彼らが投資家向けにアップデートしたデータによれば、21年度は前年度比15%増の1260万世帯に導入されたという(ソノス製品購入者は複数製品を同時購入することもあるため“世帯数”で書いている)。
このうち46%は既存世帯、つまりソノスのワイヤレススピーカーを既に所有している世帯だ。つまりソノスのワイヤレススピーカーを体験した消費者の多くは、追加でソノス製品を購入している。
理由は“数が多くなるほど便利で生活が豊かになる”ことに加え、ソノス製品によるオーディオ体験の質が高いからに他ならない。
そして、リピーターとしていくつも買い足してきた熱量の高いユーザーだからこそ、その利用率が高く、積極的に音楽を楽しんでいるから、音楽配信サービスはソノスを無視できない。
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