ソノスは日本市場への参入が18年と遅かったこともあり、日本での知名度はさほど高くない。米本国でも、当初は高評価だったのに消費者には無視されていた。日本で販売していないにもかかわらず、筆者も知っていたわけで、技術やコンセプトは素晴らしいものだったが、世の中に広がるためには技術やコンセプトが優れているだけではダメだったのだ。
そこでソノスは“音楽リスナー”にとっての価値とは何かを見直し、音質面でも機能面でもブラッシュアップ。現在はサウンドバーなど映像機器との連携も深め、ホームシアター向けの体験を高めることに注力している。
さらに同社は自社でインターネットラジオチャンネルを立ち上げ、音楽再生専用の音声コントロールサービスも提供することを発表した。当面は英語、近日にフランス語に対応する。残念ながら日本語対応のスケジュールは決まっていないが、彼らが音楽専用に音声コントロールサービスを提供するのには理由がある。
音声アシスタントの多くは“さまざまな機能や情報”に音声からアクセスできるよう設計されている。このため指示に際しての作法が煩雑になりがちだ。
しかし音楽を楽しむためのスピーカーならば、もっとシンプルに音を楽しみたい。また複数ある音楽ストリーミングサービスも使いこなし、気分によって的確なラジオやプレイリストを手軽に楽しみたい。
「提供する側が何をしたいか?」ではなく「利用者がどうしたいのか」。そこに深く根ざしているからこそ、アップルをはじめとするIT業界の巨人たちもソノスには追い付けないのかもしれない。
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