ソロサウナチューンが市場にインパクトを与えたこと、コロナ禍で個室の需要が高まったことで、他社が次々と新規参入し、個室サウナが増え続けている背景は理解できた。とはいえ、ここまで急増すると供給過多になりそうな気もするが……。
「差別化の難易度が上がっている認識はあります。ただ地域差があり、マイナーな地域ではまだ選べるほどの選択肢がないので、リピーターを獲得しやすいのかなと。例えば、22年4月、たまプラーザにオープンした『ROKU SAUNA(ロクサウナ)』は、周辺に類似施設がなく、利用者のほとんどは近隣住民のようです。ライフスタイルにサウナを組み込むなら、立地は重要な要素です」(川田氏)
確かに、渋谷、恵比寿、品川など施設が密集するエリアを離れれば、明確な差別化をせずとも、まだまだ繁盛するチャンスがあるのかもしれない。
「新しくできたサウナは、『まず1回行ってみよう』とはなるはず。ただし、損益分岐点はリピートにつながるかどうか。大衆浴場と比較した個室サウナの難しさは、床面積が小さく世界観を表現しづらいこと。カフェスペースやマッサージなどの付帯機能が少ないなかで、施設の魅力を語り尽くさなければなりません」(川田氏)
川田氏が注目している個室サウナを聞くと、「OOO(オー)」と「SAUNA RESET Pint(サウナ リセット ピント)」をあげた。後者は、川田氏がプロデュースに関わっている施設だ。
「オー」は4月に東日本橋にオープンしたばかりで、「コミュニケーションサウナ」がコンセプト。6人までのグループ利用がメインで会話しやすい環境にこだわっている。ビル内には、サウナ後にマッチするドリンクや食事を提供するアフターサウナバーも併設。
6月、浅草に1号店がオープンする「サウナ リセット ピント」は、日本最大(※)の1人用サウナ個室数を誇る。瞑想やバーチャル旅行体験ができるルーム、ワーキングスペース、休息カプセルなど、サウナ以外の体験もそろう。浅草の街と連動した周遊プランなども提供する予定だ。
「今後は、個室サウナ×〇〇という掛け算が必要になるかなと。言い換えると、サウナだけの施設は淘汰されていくかもしれません。サウナにプラスアルファして、仕事や食事、その他の体験も同時にできると、より行きやすくなり、リピーターにつながるためです」(川田氏)
より個性が求められている個室サウナ。ビジネスセンスが試されるフェーズに突入したといえそうだ。
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