「個室サウナ」はなぜ人気なのか 年会費100万円超も登場体験取材したところ(5/5 ページ)

» 2022年05月26日 08時51分 公開
[小林香織ITmedia]
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今後求められるのは、個室サウナ×〇〇

 ソロサウナチューンが市場にインパクトを与えたこと、コロナ禍で個室の需要が高まったことで、他社が次々と新規参入し、個室サウナが増え続けている背景は理解できた。とはいえ、ここまで急増すると供給過多になりそうな気もするが……。

 「差別化の難易度が上がっている認識はあります。ただ地域差があり、マイナーな地域ではまだ選べるほどの選択肢がないので、リピーターを獲得しやすいのかなと。例えば、22年4月、たまプラーザにオープンした『ROKU SAUNA(ロクサウナ)』は、周辺に類似施設がなく、利用者のほとんどは近隣住民のようです。ライフスタイルにサウナを組み込むなら、立地は重要な要素です」(川田氏)

 確かに、渋谷、恵比寿、品川など施設が密集するエリアを離れれば、明確な差別化をせずとも、まだまだ繁盛するチャンスがあるのかもしれない。

 「新しくできたサウナは、『まず1回行ってみよう』とはなるはず。ただし、損益分岐点はリピートにつながるかどうか。大衆浴場と比較した個室サウナの難しさは、床面積が小さく世界観を表現しづらいこと。カフェスペースやマッサージなどの付帯機能が少ないなかで、施設の魅力を語り尽くさなければなりません」(川田氏)

 川田氏が注目している個室サウナを聞くと、「OOO(オー)」と「SAUNA RESET Pint(サウナ リセット ピント)」をあげた。後者は、川田氏がプロデュースに関わっている施設だ。

「オー」はフィンランド式サウナと茶室をかけ合わせたデザイン(提供:プレスリリース)

 「オー」は4月に東日本橋にオープンしたばかりで、「コミュニケーションサウナ」がコンセプト。6人までのグループ利用がメインで会話しやすい環境にこだわっている。ビル内には、サウナ後にマッチするドリンクや食事を提供するアフターサウナバーも併設。

男性、女性の専用フロアを設けた地上9階建ての予約制サウナタワー「サウナ リセット ピント」(提供:プレスリリース)

 6月、浅草に1号店がオープンする「サウナ リセット ピント」は、日本最大(※)の1人用サウナ個室数を誇る。瞑想やバーチャル旅行体験ができるルーム、ワーキングスペース、休息カプセルなど、サウナ以外の体験もそろう。浅草の街と連動した周遊プランなども提供する予定だ。

(※)同施設を運営するレーサム社が実施した、サウナ専門サイト「サウナイキタイ」掲載施設にて1人用サウナ個室数を調査(2022年3月現在)

 「今後は、個室サウナ×〇〇という掛け算が必要になるかなと。言い換えると、サウナだけの施設は淘汰されていくかもしれません。サウナにプラスアルファして、仕事や食事、その他の体験も同時にできると、より行きやすくなり、リピーターにつながるためです」(川田氏)

 より個性が求められている個室サウナ。ビジネスセンスが試されるフェーズに突入したといえそうだ。

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