白髪のおじさんがキュートに踊る? 企業がTikTokをやってみて、分かってきたこと三陽工業とダイキンに取材(5/6 ページ)

» 2022年05月27日 11時50分 公開
[ITmedia]

ダイキンもTikTokを活用

 空調大手のダイキン工業(以下、ダイキン)も、1月から採用活動でTikTokを活用し始めた。採用チームが実際に顔出しをし、会社概要について説明する”躍ってみた”動画を公開中だ。多いもので400万回再生以上を記録するなど、再生数を伸ばしている。

 なぜダイキンはTikTokの活用を強化し始めたのか。運用を担当する総務部 広告宣伝グループの天野貴史さんと人事本部 採用グループの伊藤結芽さんに話を聞いた。

TikTok 空調大手のダイキンもTikTokを活用

「堅い」イメージの払拭を目指す

――なぜ、TikTokの運用を開始したのですか?

天野: 当社はエアコンを中心に展開しており、大手家電メーカーと比較して、若年層・就活生との接点作りができずにいました。若年層をターゲットに認知拡大を図るべく、各種SNSを活用していましたが、TikTokの社会的な利用率の高まりを受け、21年の夏にアカウントを開設しました。

 最初は単にブランディング目的で実施していましたが、動画再生数・完全再生率が想定よりも2倍以上高かったため、採用活動にも拡大して運用を開始しました。

伊藤: 採用活動においては、学生から「堅い」「関西の空調メーカー」という印象を持たれることが多いことを課題に感じていました。産業としても固定的な印象を持っている学生が多く、当社がグローバルに展開していること、空調事業の社会貢献性を正しく伝えていきたいと考えていました。

 TikTokは比較的新しいメディアで、他社もまだ採用で使用している例が多くありません。TikTokの活用自体が、「先進的な事柄にチャレンジする社風」を伝えることにつながると考えています。

 流行の「躍ってみた」に加え、当社の「うるるとさらら」ブランドのイメージキャラクターである「ぴちょんくん」を使用した楽曲を作成し、オリジナルの動画を投稿しています。

TikTok 「ぴちょんくんとガチャ」

――実際の効果はどうですか?

伊藤: 採用活動の場面で学生から「TikTokに出ていましたよね?」と声をかけてもらう機会が多く、採用担当を身近に感じてもらい、当社の「人」を知ってもらいたいという目的の達成につながっていると感じています。

 また、当社は採用活動においてTikTokに限らずTwitterやInstagram、noteなど各種SNSの活用を強化しています。その効果があってか、23年度の新卒採用では応募する学生の多様性が増し、今までリーチできていなかった大学や関西以外の学生の応募が増えました。

TikTok ダイキンのTiktok動画

――今後の展望を教えてください。

天野: 最初は「誰が見てくれるんだ?」という不安がぬぐえないまま運用を始めましたが、想定以上に反響をいただいてうれしく感じます。

 今回の挑戦で、TikTokの可能性を再確認しています。YouTubeは広告を強制的に見させられている感覚を覚えますが、TikTokは自然と受け入れられる傾向にあると感じています。YouTubeが自分の興味があるものをより深めるプラットフォームなのだとすれば、TikTokは自分の「好き」を発信し、新たな出会いがある場所なのだと思います。

 今後も各媒体の特性に合わせて、SNSの活用を強化していきます。

TikTok 「ぴちょんくんとガチャ」

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