――チェキ史上の中で、プリントレバーは初めて搭載したそうですね。
橋口: 企画サイドから「どうしても搭載してほしい」という声がありました。ボタンを押せばプリントができるようにすれば、コストを切り詰めることができる。それでもプリントレバーを搭載したのは、アナログ操作によって作品をつくりあげる楽しさを追求したからなんですよね。ただ、開発する側としてはとても苦労しました。
企画側からは「プリントレバーをもっと固くしてほしい」「もう少し柔らかくしてほしい」といった声があったのですが、そうした抽象的な表現でモノをつくるのは大変なんですよね。感覚というのは、人によって違いますので。
で、試作品をつくったところ、「もう少し音がでるようにしてほしい」「もう少し固くしてほしい」といった声がありまして。「数字で言ってくれれば、それを設計図に落とし込むことができるのになあ」と思っていました(笑)。
ただ、数字で表現することは難しかったようで、その後も「あと少し」「もうちょっと」といった言葉が続きました。試作品をつくって、できたモノに触れてもらう。再び「ああでもない」「こうでもない」といった会話を交わす。そんなことを繰り返して、なんとか商品を完成することができました。
――これまでチェキをたくさんつくってきましたし、デジカメもつくっている。知見も技術力もあるので、プリントレバーなんて“ちょちょいのちょい”といった形でできそうですが、そうでもないと?
橋口: 難しいですね。プリントレバーだけでなく、他の機能も同じように議論を重ねまして、開発に2年弱かかりました。開発側はどうしても「こんなこともできるよ」「こうした機能を搭載してはどうかな」と提案することが多いのですが、企画がそれをすべて受け入れると、デジカメができてしまう。
チェキの世界観は守らなければいけないので、企画と開発が一緒になって「この機能は落とそうか」「この機能はここまで高めようか」といった話し合いは欠かせなかったですね。
――時代のトレンドに合わせながら、製品の世界観を守っていく。なかなか大変な作業になりますが、「最上位機種が売れている」となれば、次の機種に期待する人も多いでしょうね。ユーザーだけでなく、会社の上層部も(圧)。本日はありがとうございました。
(終わり)
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