スパークスの狙いは若年層へのマーケティングだ。
1兆6000億円の預かり資産残高を持つスパークスだが、そのほとんどは機関投資家からのもの。個人からの投資額は3000億円にすぎない。「個人、特に若い投資家に投資商品を持ってほしいと思っていた。LINE証券はまさにそのターゲット層のユーザーが多い」(スパークスの副社長グループCOOの深見正敏氏)ことから、この取り組みに至った。
調達する10億円は、インパクト投資などスパークスが運用するファンドへの投資にも使われるが、資金需要が出発点ではなく、若年層投資家へのアプローチが主目的だ。2.5%という利率にしても、5万円投資して1年間で税引き後1000円になるという観点から設定した。「ある程度実感を持ってもらえる額にしたかった」と深見氏。
「購入者と直接つながれることが、デジタルならではのメリットだ」(深見氏)としており、投資家とコミュニケーションを図る。またデジタル債を購入し、かつLINE証券内でスパークスの投資信託を5万円以上買い付けたユーザーの中から、抽選で現金やプレゼントがあたるキャンペーンも実施する。
資金需要目的ではなく、購入者へのマーケティングを目的とした金融商品販売は、貸付型クラウドファンディングなどでも盛んとなっている。キャンペーンの景品代わりに金利を提供し、メディアを使った広告宣伝の代わりに証券会社などの販売チャネルを活用する手法だ。
LINE証券では、このSTOを第一弾と位置付け、さまざまなSTO実施に関心を持っている。「未上場株、不動産やワイン、クラシックカーなど実物、メタバース、NFTなどさまざまな資産について検討を進めたい」(Co-CEOの正木美雪氏)
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