「電子取引データの電子保存」の義務化ですが、中小企業などからの反発が強く、結局、2年間宥恕(ゆうじょ)されることになりました。しかし、2024年1月からの義務化は既定路線ですので、会社としては、あと2年弱の間に対応準備を進める必要があります。ここでは、「電子取引データの電子保存」の義務化に対応するために、今のうちにやっておくべきことをアドバイスします。
読者の皆さんも、経理ではPCを使うことが当たり前になっていることでしょう。そのPCのなかに存在する情報が電子データです。これはPCだけでなく、お手もとにあるスマートフォンでも同じ話です。
では、経理や業務において生じた電子データがあった場合、どのように扱えばよいでしょうか。例えば、経費精算のために作成したExcelのファイルがあるとします。Excelファイルのままだと提出するのが不便なので、紙にプリントしました。このとき、プリントしたあとのExcelのファイルはもう使わないとしても、すぐに削除することはあまりないでしょう。
電子データは場所もとりませんし、もし残しておけば後日の確認や、似たような書類を作成するときにコピーして使い回しもできます。このように、電子データは私たちの業務のまわりに多くあることが分かります。
では、本稿のテーマである「電子取引」の電子データとは、どのようなものでしょうか。分かりやすくいうと、取引先とインターネットや電子メールでやりとりした場合の、取引に関する情報を含む電子データをいいます。「電子」の「取引」ですので、なんとなくイメージがつかめることでしょう。このような電子取引の範囲に含まれるものとして、
の電子データが該当します。取引の最後に作成される請求書や領収書だけでなく、取引の最初に作成される注文書のような書類も該当していることが分かります。なお、これらは自社が交付したものと受領したものの両方が対象です。
では、取引先から送られてきた電子メールに「請求書」というPDF形式のファイルが添付されてきた場合、どのように対応しているでしょうか。このPDFファイルは、PCのなかでは紙の書類と同じような感覚で見ることができますが、当然ながらこれは電子データであって紙の書類ではありません。
PDFファイルを受け取るケースが少ない場合は、経理を紙で統一するため、PDFファイルをプリントしていたことも多いと思われます。
このように紙の書類にあわせて統一している場合に配慮すべき点が、プリントしたあとのPDFファイルの取扱いです。自社で最初に受け取ったものは、紙の書類ではなく電子データでした。そして紙の書類は、電子データを紙にプリントして変換したものです。では、もとの電子データはどうすればよいのでしょうか。
このような電子データの保存方法を定めているのが、本稿のテーマである「電子帳簿保存法」です。法律の名前は「電子帳簿」「保存」とありますが、帳簿だけでなく、経理のなかで生じる電子データの書類も保存範囲に含まれています。
© 月刊経理ウーマン
Special
PRアクセスランキング