魚が泳ぐ水槽の前に、魚料理の食品サンプルを展示――。青森県青森市にある浅虫水族館のユニークな展示方法がSNSで話題を呼んでいる。鑑賞が目的の水族館で、食欲を誘う魚料理の展示はご法度では……と思いきや、そういうことでもないという。いったい、どんな経緯から食品サンプルの展示を始めたのか。担当者に狙いを聞いた。
大型のトンネル水槽を優雅に泳ぐ魚たち。それを背景に、4つの食品サンプルが並ぶ。例えば「ホタテの貝焼きみそ」。説明書きには「青森の郷土料理の一つ。ホタテの貝殻を鍋のように使いだし汁に味噌を溶いて具材を入れ、卵でとじたもの。熱々のごはんと食べたら最高です」とある。
ホタテフライの場合は「ホタテガイの旨味を衣でしっかり閉じ込めたフライは、貝そのもののジューシーさを損ないません。外はサクサク、中身はしっとりで旨味満点です」――といった具合だ。
同館が食品サンプルの展示を始めたのは2015年。「むつ湾の海を再現したトンネル水槽のリニューアルに合わせて、食育を通して水産資源の管理などの大切さを理解してもらうために始めました」と担当者は話す。
陸奥湾で育つホタテガイは、青森を代表する特産品。県民にとって身近な食材を利用することで、分かりやすく学べるのではないかとのアイデアから生まれた展示だという。
気になるのは来場者の反応だが、評判は上々だといい「地元の人は身近でよく知っている食品で分かりやすい、観光客からは『ホタテの貝焼きみそという料理を初めて知った』という驚きの声も寄せられます」と担当者は話す。
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