水族館が鮮魚店に? “ホタテの刺身”を水槽前に展示 狙いを聞いた展示方法に新たな潮流(2/2 ページ)

» 2022年06月12日 07時30分 公開
[ITmedia]
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 青森県が運営する浅虫水族館は本州最北端に位置し、83年に開館した。多様化する市民のニーズに応えるため、06年からは民間の運営ノウハウを活用しながらサービス向上と経費節減を目指す指定管理者制度を導入。今回のような話題性を持つ展示や宣伝を続け、開館から31年目を迎えた14年、県内の観光施設としては初めて累計入館者数1000万人を突破した。

浅虫水族館は14年に青森県内の観光施設としては初めて累計入館者数1000万人を突破した

 年間の入館者数は30万人前後で推移しているが、直近の2年はコロナ禍の影響で年間約17万人に落ち込んでいる。通常営業を再開し、今年は再び30万人の来館を見込む。

水族館で“おいしい”展示、実はめずらしくない?

 SNSで脚光を浴びた浅虫水族館の水槽と食品サンプルというユーモアある組み合わせ。実は、同様の取り組みは全国の水族館でも見られるという。

 福島県いわき市の「アクアマリンふくしま」では、大型水槽の前にすし店のカウンターを設置。優雅に泳ぐ魚を眺めながら、すしを味わうことができる。

 兵庫県の姫路市立水族館でも、過去に期間限定で地元播州の祭りで食される魚料理を展示してきた。

 近年は、地球環境や持続可能な海洋資源の利用――といった観点が重視され、水族館は単なる鑑賞目的にとどまらず、教育機能の提供といった側面も求められている。浅虫水族館の「食育」を目的とした展示も、教育機能を持たせ、近年の潮流に合致する展示となっている。

青森・むつ湾の海を再現した浅虫水族館のトンネル水槽

 水族館と“おいしい”という組み合わせは、よくある展示手法となりつつあるが、やはり意外性をもって受け止められ、話題を呼ぶ側面も大きいようだ。

 意外性のある展示手法で入場者増や話題につながるアイデアは、まだまだ気づかないところに隠れているかもしれない。

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