『多摩』を出すことになったものの、編集部内では「『東京』ほどは売れないでしょ」という予想もあって、初版は2万部でスタート。しかし、すぐにその考えは、間違っていたことが分かる。多摩エリアにある書店から注文がどんどん入ってきて、初速は『東京』の3倍ペースで売れたのだ。
人気を集めた理由として、斉藤さんはこのように分析している。「『自分の住んでいるところを知りたい』というニーズがあったのではないでしょうか。あと、コロナ禍で旅行を控えていた人が多いと思いますが、本が出たことで『家の近所をじっくり歩いてみるのも面白いかも』という“気づき”を提供できたのかもしれません」
ふむふむ、確かにそうした背景があって、「ちょっと買ってみるか」といった人も多そうだ。ただ、もう1つ理由があると思っていて、それは類書がない(または見つけることができなかった)ことである。
書店のガイドブックコーナーに足を運んで、多摩エリアの書籍を探したところ、30市町村を網羅的に扱っている本を見つけることができなかったのだ。散歩、ハイキング、名所めぐりといった形で、テーマを絞ったガイドブックはあるが、さまざまな内容をまとめたモノを見つけることができなかった。
ありそうでなかった本が登場したことも、売れた要因につながったのではないか。いくつかの理由を複合的に考えると、『多摩』は“たまたま”売れたわけではないことがうかがえる。
国内版の勢いはまだまだ続く予定で、6月には『北海道』、8月には『日本』がそれぞれ登場する。「日本ってどこからどこまでだよ」と思われたかもしれないが、全都道府県を対象にしている。情報量はとにかく多くて、歴代最多となる1000ページ超を予定しているという。
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