削らなくても16キロ書ける! 「芯まで金属のペン」開発秘話を聞いた3分インタビュー(1/3 ページ)

» 2022年06月05日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

 鉛筆の芯は、どのような構造でできているのかご存じだろうか。黒鉛と粘土でできていて、その比率によってHやBなどの硬度が変わってくる。

 多くの人は子どものころから何の疑問も抱かずに鉛筆を使い続けていると思うが、その常識を覆すようなペンが登場する。その名は「metacil」(メタシル、全6色、1本990円)。サンスター文具が6月下旬に発売する予定だが、このペンの何がスゴいのか。

芯まで金属のペンが登場する
削る必要がないので、書き続けられる

 芯が黒鉛を含んだ特殊合金でできていて、黒鉛と合金の粒子が摩擦によって紙に付着する。それによって、文字を書くことができるわけだが、驚くのはまだ早い。芯まで金属なのに、市販の消しゴムで消すことができるのだ。

 同社が「メタシルを4月下旬に発売しますよー」とアナウンスしたところ、SNS上で話題に。「なにこれ? いますぐ欲しい」「シャーペン以来の革命ではないか」といったコメントが相次ぎ、予約が殺到。急きょ増産することになったが、それでも生産が追いつかない状況に追い込まれ、発売日が2カ月ほど遅れてしまったのだ。

 発売前のタイミングで「ヒット商品 当確」の雰囲気が漂うこのアイテムは、どのように開発したのだろうか。同社で開発を担当した大杉祐太さんに話を聞いた。

開発のきっかけ

――芯まで金属なのに、鉛筆のように書けて・消せる「メタシル」が発売されますが、なぜ開発しようと思ったのでしょうか?

大杉: 個人的に文房具が好きで、以前から「新しいモノを生み出したいなあ」と考えていました。ただ、文具コーナーを見ても、昔からあるようなモノばかりが並んでいる。これまでの常識を覆すようなモノを開発することはできないのか。そんなことを考えているうちに、鉛筆に着目しました。鉛筆といっても、多くの人が使っているモノではなくて、「メタルペン」をつくることはできないかと思ったんですよね。

 メタルペンのペン先は金属でできていて、それが紙にこびり付くことで文字を書くことができる。この技術はかなり昔からあって、「レオナルド・ダ・ヴィンチも使っていた」と言われています。ただ、黒鉛を混ぜていないので、色が薄いんですよね。紙の種類によって変わってきますが、濃さは5Hほど。

 このままだと使い勝手が悪いので、多くの人が利用することは難しい。であれば、金属だけでなく、鉛筆と同じように黒鉛を混ぜれば、濃く書けるのではないか。そうすると、多くの人が使うのではないかと考え、開発を進めました。

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