とはいえ、日本は海外と比べてIEへの依存度が高い。Web解析サイト「StatCounter」が公表しているブラウザ別のシェア率をみると、22年6月時点の世界シェア率は0.64%。これに対し、日本は1.53%だった。
この数値だけ見ると、かなりのマイノリティーのように思えるが、ソフトウェア関連サービスを手掛けるバルテス(本社:大阪市西区)が21年9月に行った調査では、サポート終了に向けて「対応を完了した」と回答したのは全体の16%にとどまった。「現在対応中」(42%)と「まだ対応を始めていない」(15%)に、「わからない」(19%)を含めると全体の76%が対応を終えていないことになる。
IT製品情報サイト「キーマンズネット」が4月に発表した調査でも、「IEを利用している」と回答した企業は49.1%に上った。最多は「Chrome」の81.4%で、後継サービスの「Microsoft Edge」は72%だった。一方で、「EdgeのIEモードを使う予定」(34.6%)、「EdgeのIEモードに切り替え済み」(20%)と、IEが日本国内の組織で根強く使われている様子がうかがえる。
例えば、日本私立学校振興・共済事業団(私学事業団)の公式Webサイトは、IEを推奨ブラウザとしている。同事業団は「IE以外のブラウザが広く普及している」(総務課)として、17日以降は推奨ブラウザの明記を削除し、どのブラウザでも利用できることを周知する方針を示している。
国税庁が提供する「e-TAX」でも、利用環境のページに利用可能なブラウザとして、ChromeとMicrosoft EdgeとともにこれまでIEを記載していたが、同様に17日以降はIEの記載をサポートを継続するWindows8.1を除いて削除するとともに、ユーザーにも公式サイトで周知する予定だ。
MSはIEのサポート終了の理由の1つに「生産性の向上」を挙げている。用途別にIEと別のブラウザを使い分けるのはユーザーの生産性を落としているという趣旨だ。
それは提供元のMSの視点でみても、同様のことがいえるだろう。Microsoft Edgeとサービス内容が重複している上、IEサポート終了について「最新のWeb サイトやアプリを開発しているWeb 開発者の方は、この日を待ち望んでいたことと思う」と“自虐的”に語っているように、これまで評判が悪いサービスの提供を続けていたためだ。
IEモードを使えば、29年まで利用を事実上“延長”することができるが、夏休みの宿題を終盤になって慌ててやる小学生がいるように、それは単なる嫌なことや面倒なことを先延ばしたに過ぎない。29年には、IEベースの関連サービスと、そうしたサービスを利用する企業がゼロになり、移行がスムーズになっていることを願いたい。
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