地球温暖化の一因とされる二酸化炭素(CO2)削減のため、国内外で自動車をガソリン車から電気自動車(バッテリー式電気自動車、BEV)にシフトする動きが進んでいる。メディアも、自動車各社の新型BEVの動向を報じており、いつの間にか人々に「次世代自動車=EV」という認識が浸透しつつあるように感じる。
そうした動きがなぜ出ているのかと疑問を感じた記者は、このほど開催されたトヨタ自動車の記者会見で、豊田章男社長に「世界はなぜEV一択なのか」と直球質問した。豊田社長の回答とは? 回答全文とともに、社長の思いをまとめた。
記者の素朴な疑問に対し、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる「カーボンニュートラル」(CN)達成のため、豊田社長がまず明言したのが「CN達成の敵は炭素」という点だ。
確かに、現行のガソリン車の内燃機関(エンジン)から排出される炭素が問題であって、内燃機関そのものに問題があるわけではない。燃料を変えてしまえば、この問題は解決できる可能性が高い。ガソリンと電動モーターで駆動する「ハイブリッド車」という新ジャンルを開拓し、世界に衝撃を与えた、トヨタならではの視点だ。
では、なぜ「CN=BEV」という認識が広がっているのだろうか。豊田社長は「投資を誘発させたい一部の方々が、積極的に発言されているのだと思う」との見解を示した。ただ、「この1年間を見ていると、BEV一辺倒から割と変わってきている」と手応えも感じているようだ。
トヨタは2021年12月、30年までに30車種のBEVを投入する計画を発表した。その一方で、現行の内燃機関を維持しつつ、水素を燃料にした「水素エンジン」の開発も本格化させている。
豊田社長は「われわれのビジネスはBtoCなので、顧客により多くの選択肢を提供したい。選択肢は市場とお客さまにあるということにこだわりを持ってやっている。そういう意味では、多様化した社会には多様化した選択肢・解決策があるのではないか。水素エンジンは選択肢の一つだ」と話している。
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